配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1994年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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研究概要 |
(1)計算機シミュレーション成功の可否は,いかに良質の原子間ポテンシャルモデルを使用するかどうかによる.我々は,地殻,マントルの最重要な構成物であるNa_2O-CaO-MgO-Al_2O_3-SiO_2系をとりあげ,この系に属する種々結晶と融体の両者に適用可能な標準的かつ高精度なポテンシャルモデルを求めることに成功した.このことにより,鉱物組成がダイナミックに変化する系,ケイ酸塩融体と結晶が共存する系などを取り扱うことが可能になった. (2)マントル内の圧力下でケイ酸塩結晶と融体の間に密度逆転の起こる可能性が示唆されている.この密度逆転の可能性を調べるために,ディオプサイド結晶と融体の両者について,それらの1900Kにおけるモル体積の圧力依存をMDシミュレーションを用いて求めた.その結果,この系では11GPa付近で密度逆転が起こることを見出すとともに,高圧下におけるこの密度逆転が,結晶と融体における陽イオンの配位数の圧力依存の差により解析できることを示した. (3)下部マントルの主成分と考えられているMgSiO_3ペロフスカイトの融点(T_m)は,下部マントル最上部の圧力下ではかなりな精度で実測されているが,一方,融点の圧力依存,dT_m/dP,については報告されている値に大きな差が存在し,dT_m/dPが下部マントルの圧力下で負になりうるとの報告もある.MgSiO_3ペロフスカイトのdT_m/dPが負であるということは,Clausius-Clapeyron式より,固相と液相の間に密度逆転が起こることを意味する.故にこのような密度逆転が下部マントルの温度圧力条件下で起こりうるかどうかをMDシミュレーションを用いて調べた結果,下部マントル底部の圧力(136GPa)に至っても,密度逆転は見出されなかった.
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