研究概要 |
1.半導体系ヘテロ構造の非線形光学特性の評価 GaAs, AlGaAs, GaP, AlGaP, ZnSe,CdTeなどの非線形光学定数の値を正確に測定するとともに,イオン打ち込みによって非晶質化したGaPやβ-SiC/Siについても初めてその非線形光学特性の評価をおこなった。GaPにCa^+イオンを照射して表面部分を非晶質化させると,その非線形光学定数がイオン照射前の約10%に低下することが確認された。また、β-SiC/Siでは,本来SHG活性であるべきSiCがアンチフェイズドメインの形成によって巨視的にはSHG不活性になってしまうというまったく新しい現象を発見した。これらはいづれも,半導体材料の非線形光学特性の人工的な制御の可能性を示唆するものである。 2.有機系ヘテロ構造導波路の作製と波長変換特性の評価 非線形な有機結晶と線形な高分子を交互に並べることで疑似位相整合を達成することができる。有機非線形光学結晶とフッ素化ポリイミドからなる疑似位相整合SHG導波路素子の作製技術を新たに開発することに成功した。この手法は広範囲の有機結晶に適用可能な極めて汎用性の高いものである。この手法で作製したDMNP/ポリイミド周期導波路を用いてTi:サファイアレーザ光のSHG測定をおこない、疑似位相整合が達成されていることを初めて確認した。 3.不規則周期疑似位相整合に関する検討 シミュレイテド・アニーリングの手法を用いて不規則周期疑似位相整合SHG素子の最適設計をおこなう方法を新たに開発し,その結果,大幅な特性改善が可能であることを理論計算によって示した。また,最適設計をおこなった不規則周期分極反転LiNbO_3導波路を実際に作製・評価し,その手法の有用性を実証することができた。
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