研究概要 |
高速の並列処理システムを実現する方法の一つとして,電子回路によるプロセッシングエレメント(PE)と光によるPE間のインターコネクションを組み合わせたハイブリッドタイプのアーキテクチャが期待を集めている.本研究は,独自開発した電子回路によるPEと同じく独自に開発した光インターコネクションシステムを組み合わせて高速の超並列演算処理機構を試作し,具体的に意味のある演算を実現することを目的とする. 実際にシステムを組むという観点から,各要素技術への要求仕様を整理し,システムのアルゴリズムも決定した.また,各要素技術の性能を再検討し,改良に必要となる基礎データを得た.これにより現状の技術での限界が明らかになったと同時に,将来の性能予測が明らかになった. 具体的には,PEを専用LSIを用いて16×16並べたPEアレイを開発し,そのPEアレイ上で実行可能なアルゴリズムを開発した.また,光インターコネクションを実現するCGHの実際の特性を測定し,改良に必要な基礎データを得た.特に光デバイス(発光素子アレイ,フォトディテクタアレイ,空間光変調素子,高解像度ディスプレイ等)への要求に対する仕様を明確にした.その結果,液晶空間光変調素子の書き換え時間がネックになることがわかった. プロセッシングエレメントアレイの実現とアルゴリズムの開発では,光インターコネクションを考慮したアルゴリズムの解析に要点を置いた.また,ハードウェアの面では,発光素子として面発光レーザーダイオードアレイを用いたため,その波長に対応するため,空間光変調素子を含む光デバイスの波長の変更も行ったが,良好結果が得られた.
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