研究課題/領域番号 |
06452181
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
熱工学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小林 康徳 筑波大学, 構造工学系, 教授 (10132995)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1994年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 液体メニスカス / ヒートパイプ / 蒸発熱伝達 / マクロ領域 / マイクロ領域 / メニスカス / 蒸発しない薄膜 / 蒸発伝熱 / 溝形ヒートパイプ |
研究概要 |
ヒートパイプに代表される潜熱授受による様々な形態の高効率熱輸送素子の伝熱性能を向上させることを目的として、作動液体のメニスカス端部と固体壁の接触部近傍での液膜の形状と厚さ、その重力による影響などを詳細に調べた。第2年(最終年)度の主たる研究成果は大略以下のようである。前年度に得られた解析的結果を実証すべく、主として分光法による実験的研究を行った。実験条件をあわせるべく既存の実験装置と供試体容器を改良して、エタノール作動液の「蒸発しない液膜」厚さを測定した。この液膜は固体壁に接触する作動液の自由界面のうち分子間力が支配的な領域(マイクロ領域)での最小液膜厚さを意味し、実験値は20〜50ナノメータの大きさであった。この種の定量的な測定は難しく従来有為な結果はほとんど得られていない。壁面からの蒸発電熱量の大小と液膜厚さの関係も調べられたが、実験と計算予測結果とは余りよい一致を見なかった。解析モデルがまだ不完全であるためと想像される。さらに、二重露光レーザーホログラフ干渉法を用いた液体メニスカス端部の形状も調べられたが、これも定性的な情報を得るに止まっている。この種の微小量測定では測定条件を整えることが肝要である。 一方、理論解析では解析モデルの境界条件を改良して、溝型ヒートパイプの熱輸送性能のシミュレーション解析を行った。計算上の流れ場を分子間力が支配的な固体壁近傍の微小区間(マイクロ領域)と通常の伝熱現象が支配する残り大部分の区間(マクロ領域)に分ける手法は同じである。作動液体のメニスカス部の形状は前もって仮定されるのはなく、マイクロ/マクロ領域でスムーズにつながるよう計算の過程で求められることがでこの解析モデルの大きな特徴になっている。熱伝達量とメニスカス形状の計算結果と実験結果との対比では定性的には妥当な一致を得たと言える。これら一連の研究から、メニスカス端部の狭い領域(マイクロ領域)が蒸発伝熱に大きな役割を果たすことが分かった。また、実験に用いた溝型ヒートパイプは重力の方向にあまり左右されない特徴を持つことも分かった。
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