研究概要 |
6.6kV受電の高磁場発生用サイリスタ整流器(8MW)は,マグネットコイルに23kAの直流電流を供給し,15Tの高磁場を発生することができる。このようなサイリスタ整流器には,10^<-4>/8Hrの高安定度と10^<-4>(peak to peak)の低リプルが要求される。しかし,上位系統の154kV系に設置された大容量アーク炉が下位系統の6.6kV系に電圧フリッカを発生し,これが原因で低周波(1〜20Hz)のリプル電流がマグネット電流に重畳するという問題点が指摘されていた。さらに,このような大容量サイリスタ整流器は他の需要家の電力・電子機器に高調波障害を引き起こす恐れもある。 本研究は,高安定度と低リプルが要求される高磁場発生用サイリスタ整流器の交流側に接続し,電圧フリッカと高調波を同時に抑制することのできる直列形アクティブフィルタを開発しようとするもので,以下の点を明らかにした。 1.(担当 赤木,藤田)実システムの電圧フリッカ(1〜20Hz)を正確に模擬できる電圧フリッカ発生装置(3kVA)を設計・製作した。これは,三相電圧形PWMインバータ(3kVA)を整合変圧器を介して系統と直列に接続し,系統電圧に電圧フリッカを発生させようとするもので,直列形アクティブフィルタの応用と考えることができる。 2.(担当 赤木,小笠原)研究代表者が先に提唱したpq理論を応用し,直列形アクティブフィルタの制御法を開発した。 3.製作した電圧フリッカ発生装置と直列形アクティブフィルタを用いて電圧フリッカに起因する低周波リプル電流の低減効果,サイリスタ整流器が発生する高調波電流の低減効果を中心に,直列形アクティブフィルタの補償効果,効率などについて定量的に評価した。 4.(担当 赤木,小笠原)6.6kV系へ直列形アクティブフィルタを適用する際の問題点について検討した。その結果,フリッカ電圧検出器の精度が抑制効果に関係し,実用化に当たっては高精度の電圧センサーを開発する必要があることなどを明らかにした。
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