研究課題/領域番号 |
06452213
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
直江 正彦 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016465)
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研究分担者 |
松下 伸広 東京工業大学, 工学部, 助手 (90229469)
中川 茂樹 東京工業大学, 工学部, 助教授 (60180246)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | 巨大磁気抵抗効果 / スピンバルブ / イオン照射 / 界面制御 / デュアルイオンビームスバッタ法 / デュアルイオンビームスパッタ法 / 多層膜 / メモリー素子 / Ni-Fe / Cu多層膜 / イオンビームスパッタ |
研究概要 |
本研究で目指したスピンバルブ型メモリーの実現のためには、磁性層と非磁性層の界面が磁気抵抗変化率や磁界感度に与える影響を調べることが重要な指針になるので、デュアルイオンビーム装置を用いて、まず磁性層には10から35ÅのNi-Fe層を、非磁性中間層には10から35ÅのCu層をそれぞれ用いた多層膜をFeバッファー層上に作製し、その堆積中に界面の数原子層へ0から350Vまでのイオン照射を行うことで磁気抵抗特性のイオン照射加速電圧依存性を調べた。この結果、磁気抵抗変化率そのものに与える影響は僅かであるが、磁界感度はイオン照射電圧160Vにおいて最高値をとることが分かった。この原因の一つとしては、界面への照射により原子配列に変化が起こり,界面状態が非常にシャープに形成され、磁化が一斉に回転しやすくなったためと考えられる。 次にスピンバルブ素子の試作であるが、スピンバルブを実現するためには優れた結晶配向性および磁気特性を有する反強磁性膜をバイアス層として用いる必要があるが、本研究では(111)配向したFeMn層を用いることとした。FeMnは耐触性に乏しく、酸化されやすいという問題点があるので、FeMn層を最下部の基板側に配置したリバース型スピンバルブ構造の提案および作製を行った。良好に(111)配向した50Å極薄のNi-Fe層上にFeMn層を堆積することで、(111)FeMn層を得ることに成功し、この上にNi-Fe/Cu/Ni-Feサンドイッチ構造膜を堆積した素子を作製したところ、20Oe程度の交換バイアス磁界およびスピンバルブ動作が確認された上に、この素子が比較的良好な磁気抵抗変化率を有していること、実際の工学的応用で重要となる低磁界付近においても急峻な磁化反転が確認されており、優れた磁界感度を有していることが分かった。 以上のように、本研究では優れた磁気抵抗変化率、磁界感度、および耐食性に優れた、スピンバルブ素子の作製に成功しており、リソグラフィ技術を用いたデバイス加工を行うことで、メモリーデバイスとしての応用も十分可能であると考えられる。
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