研究課題/領域番号 |
06452223
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
陽 完治 北海道大学, 量子界面エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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研究分担者 |
斉藤 俊也 (斎藤 俊也) 北海道大学, 量子界面エレクトロニクス研究センター, 助教授 (70241396)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1994年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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キーワード | インジウム砒素 / メゾスコピックデバイス / 量子井戸 / 量子ドット / 量子細線 / クーロン振動 / 歪インジウム砒素層 |
研究概要 |
半導体デバイスの急速な集積化、微細化にともないデバイスサイズおよび物理現象がいわゆるメゾスコピック領域に入るようになった。これまで、極低温において実証されてきた様々な量子効果などが現実的な環境(温度)でも発現し、それに基づくメゾスコピックデバイスの高温動作の実現を目指すため、これに適した材料系であるインジウムひ素(InAs)を用いたヘテロ接合を利用したメゾスコピックデバイスの基礎検討を行った。まず、量子ドット構造の製作方法を検討し、歪InAsヘテロ接合を先に形成する方法では成長の際に発生する面内歪の分布に起因する個々のドット間の量子準位のバラツキをそのまま保存してしまうこと、また自然形成法を用いた場合GaAs加工面上にInAsドットを規則的かつ選択的な1次元配列が可能であることが明らかとなった。次に、InAsヘテロ接合系においてスプリット・ゲートを用いた量子細線を作製し、明瞭な量子化コンダクタンスを液体窒素温度(80K)で観測した。これは、有効質量が小さい、サブ・エネルギー準位間隔が広い、量子閉じ込めエネルギーが大きいなどのインジウムひ素(InAs)特徴を反映したものと考えられる。また、ランダムに分布した自然形成InAs量子ドットの帯電効果を擬1次元細線の電流電圧特性によりモニターするデバイス(GaAs/AlGaAs HEMT)を作製・評価した結果、一つ一つのドットの帯電効果による擬1次元量子細線電流のしきい値シフトや、同一ドットに最大6個までの電子が束縛されることなどがわかった。次に高性能InAsチャンネルHEMTの新しい構造を検討し、プラチナゲートを用いて表面反応させることによりInAsチャンネルHEMTの特性が大幅に改善できること、またInPに格子整合した、歪InAsを挿入したInGaAs/AlInAs HEMT(InAsチャンネルHEMT)においてAlInAsショットキー接合に代えて、p^+ゲートによる歪InAs挿入InGaAs/AlInAs HEMTのゲート電流特性が改善でき、かつAlInAsショットキー接合を用いた歪InAs挿入InGaAs/AlInAs HEMTと全く同等なDC特性が、様々なゲート長のデバイスで確認できた。さらにInAsチャンネルHEMT構造において超伝導材料として鉛合金薄膜を用いて超伝導近接効果を利用した超伝導弱結合において超伝導電流を観測し、2mVのIcRn積を得た。このことは超伝導近接効果デバイスとしてのInAsチャンネルHEMT構造の有効性を示している。最後に、InAsを用いた二重障壁共鳴トンネルダイオード構造への応用として、バリスティックな電子のエネルギースペクトルをInAs/AlSb二重障壁共鳴トンネルダイオード構造により観測し、多数のフォノンレプリカを直接観測し、またInPに格子整合した、歪みInAs/AlInAs二重障壁共鳴トンネルダイオード構造にプレウェルを付与した構造では、得られた共鳴トンネルダイオード特性において大幅なピーク電流値の改善を確認した。また量子ドットが埋め込まれた共鳴トンネルダイオード構造においてドットの帯電効果による大きなヒステリシスを伴う電圧電流特性が室温で観測された。
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