研究概要 |
本研究では,大学院教育の一環としてソフトウェアプロジェクト演習を効率的に進行させ,データ収集,評価が可能な支援システムを設計,試作した.その結果,支援システムにより,教官は学生の進捗状況を容易に,かつ,定量的に把握,評価出来ること,及び,学生による自己管理が可能であること,が分った.具体的な研究成果は次の通り. 1.プロジェクト管理モデルの構築…教官の作業をソフトウェアプロセスに組み入れ,プロセスからの逸脱を最小限に抑えるプロジェクト管理モデルの構築と評価を行った.その結果,(1)作業報告書から「プロセスの逸脱」を検知出来ること,(2)逸脱の解決法は事例として蓄積出来ること,(3)プロセスの大幅な変更も出来ること,が分った. 2.ソフトウェア工学データベースの設計と試作…ソフトウェア工学実験で利用されるデータベース(SEDB)の設計と試作を行った.その結果,(4)SEDBの概念スキーマはERモデルで定義出来ること,(5)SEDBは,関係データベース,及び,オブジェクト指向データベースとして実装出来ること,が分った. 3.プログラムスライスに基づくデバッグ作業支援技術の開発…プログラム中の欠陥(バグ)の位置を特定する方法の提案と評価を行った.その結果,(6)静的スライスを利用すれば,スライスを一つのプログラムとしてデバッグ出来ること,(7)スライス法とバックトラック法の併用によりデバッグ作業をより効率よく行えること,が分った. 4.演習支援システムの試作と評価…1.〜3.の研究成果に基づいて演習支援システムの試作と評価を行った.その結果,演習支援システムによって,(8)教官は,個々の作業の進捗状況を容易に把握でき,問題の発生をすばやく検知出来ること,(9)電子メイルと併用すれば,コミュニケーションの労力を小さく抑えながら,必要な情報は伝達出来ること,が分った.
|