研究分担者 |
酒井 英男 富山大学, 理学部, 助教授 (30134993)
上田 誠也 東海大学, 海洋研究所, 教授 (60011459)
石渡 明 金沢大学, 理学部, 助教授 (90184572)
古本 宗充 金沢大学, 理学部, 助教授 (80109264)
河野 芳輝 金沢大学, 理学部, 教授 (80019489)
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研究概要 |
平成8年度は本研究費の最終年度にあたることより,これまでのデータ解析と当初計画で予定した観測を行った.新規観測点としてつくば(茨城県),日立大宮(茨城県)を設置した.つくば観測点では特にVAN法で問題となる人工ノイズの除去を中心に研究を行い,長さ50-100mクラスの複数短基線と長さ2km程度の長基線観測を行った.この結果,単純な東西2測線では観測開始以来9カ月で1000個を越える異常変化が検知されているものが,複数短基線の設置によりすでに50個程度の異常変化にまで絞り込むことができた.さらに平成8年11月より,長基線観測を開始したことにより,それ以降,異常変化と考えられるものは1個だけとなった.この事実は複数短基線は効果的ではあるが,それだけでは十分ではなく,長基線観測との併用こそが、真の異常を抽出するための最低条件であることを示している.また「日本では人工ノイズが多く,ギリシャで開発されたVAN法は適さない」という批判に対し、観測事実をもって答えることができたと確信する. 平成8年3月6日に発生した山梨県東部のM5.8の地震の際には震央から約20kmの山梨県・北富士観測点で明瞭なコサイスミックな地電流変化が観測されたばかりでなく,1月29日にはSESの特徴を満たす異常変化が観測された.この北富士観測点は平成8年1月から稼働しているが,それ以降平成9年3月までこのような異常な一度も観測されていない.残念ながら当時はノイズ除去に有効な長基線観測が行われていなかったため、地震の前兆でる必要条件は満たしているが、これが真の異常であると証明されたわけではない.しかしこの研究自体には勇気を与える観測結果であった。 平成8年8月にはこの研究の総括及び今後の発展のため,VAN法が開発されたアテネ大学物理学部を訪問し,有益な議論を行うことができた.
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