研究概要 |
高い河岸の侵食過程に関する実態解明のため,バングラデシュ国の大河川の衛星写真解析を継続し,大規模な河岸侵食の生起地点について,地上の状況との対応関係を把握した。 河岸侵食に関する流れ解析については,既存の有限要素法による解析ではバングラデシュ国メグナ川や宇治川下流区間への適用性に限界のあることが判明したので,一般曲線座標系による2次元解析を検討した。まず,側岸固定条件に対して,一般曲線座標系による流れ解析を河岸侵食が進行しているメグナ川のメグナ橋の上下流約15Kmの区間について実施し,各水位の流れに対して極めて妥当な結果を得た。そこで,この流れ解析を反変成分に着目した有限体積法に基づいてモデル化した河床変動解析に用いてメグナ川の河岸侵食区間に生じている河床洗掘の再現計算を試み,良好な結果を得た。ついで,その解析モデルを河岸侵食性流路のような移動境界を持つ流れに拡張し,人為的境界移動について適用性を確認した。 近傍河床の洗掘・低下に伴う河岸斜面の安定については,河岸の全体形状を既存の式の拡張によって仮定し,現有の簡易Janbu法による解析プログラムを適用して考察を加え,河岸の比高が10mを越えると著しく不安定になることを示した。さらに,不安定化したすべり土塊の挙動を簡易Janbu法を拡張して解析し,すべりを開始した土塊は2,3秒で静止するがその間に10m程度横断方向に移動することを示した。 河川水位の変動に対する河岸内部の気流と水流の応答過程に関する実験について,装置を工夫して製作し,砂を用いた実験を行って,空気が河岸側面よりも河岸上面から出ていきやすいという結果を得たが,空気はこの実験のように下からの水の侵入の場合でも間欠的に大気中に出ていく傾向のあることが判った。
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