研究概要 |
1.東京大学原子力総合センタータンデム加速器における加速器質量分析については、^<10>Be・^<26>Al共に、^<10>Be/^9Be=Ix10^<-13>,^<26>AI/^<27>AI=Ix10^<-13>程度の試料について測定が可能となった。 2.宇宙物質中の核種生成については、H.Nagai et al.(1993)などで提唱してきた、隕石のサイズ・組成・遮蔽などの要素を考慮した統一モデルの検証を行い、大型の石鉄隕石Brenham(Pal.)の異なる遮蔽の試料についての^<10>Be・^<26>AI ・53Mn測定の結果は、このモデルと良い一致を示し、より広範囲(より大きな遮蔽、つまり大型隕石の内部)で成立することを実証した。 3.海洋上の大気中において^7Be・^<10>Be濃度は共に両半球20〜30°で極大値、赤道付近及び50〜60°で極小値、また極地に向かって増加する、という緯度分布が見出された。この原因として降水による大気中のエアロゾルの除去、対流圏の大気の循環、などが考えられる。また川^<10>Be/^7Beは、平均して北半球では1.23、南半球では1.95と2倍近く異なる値を示した。これについては成層圏と対流圏の間の大気混合の程度の違い、土壌粒子の再浮遊、などの原因が考えられる。 4.ス-ル-海(KH96-5-PA-1,8.8°N、121.8°E)において採取した表層水^7Be・^<10>Beの測定結果,^<10>Be/^7Be /^7Be=34.9、および大気中の値、^<10>Be/^7Be=1.23、を使うと表層水中のBeの平均滞留時間は1.2年。大気→表層水がdry depositionのみで起こったとすれば、1.64cm/sの速度。まだ60-100mの沈降速度は23yr/1000mと算出された。このよuうに大気中、表層水の^7Be・^<10>Be濃度測定からこれらの中でのBeの移動に関する時間情報が得られることを実証した。 5.アマゾン川河口沖のCeara Riseにおいて採取された深海底堆積物試料のうち0-200m(〜7Ma)のケイ酸塩中^<10>Be量は、平均的には海洋からの供給と考えられる値を示した。また、10〜20mおよび170m付近にアマゾン川から供給されたと思われる過剰な^<10>Beが見出されたが、大気起源の変動は観察されなかった.
|