研究課題/領域番号 |
06453020
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
野村 浩康 名古屋大学, 工学部, 教授 (50023081)
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研究分担者 |
香田 忍 名古屋大学, 工学部, 助教授 (10126857)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1995年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1994年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | 超音波緩和 / 回転異性化反応 / 反応速度定数 / 粘度依存性 / Kramersの理論 / 溶媒効果 |
研究概要 |
本研究の目的は回転異性化反応の反応速度定数の粘度依存性を調べ、その実験結果と反応速度についてのKramersの理論やGroteとHynes理論との比較・検討を行ない反応速度定数に対する溶媒効果を明らかにしようとするものである。 混合溶媒中のsec-臭化ブチルの回転異性反応をラマン散乱法を中心に調べた。溶媒としては、低粘性溶媒としてn-ヘキサン、高粘性溶媒としてフタル酸ジイソブチルを用いた。回転異性体の振動モードに対応するラマン線の温度・圧力依存性の解析から回転異性化反応に伴うエンタルピー変化(ΔH)及び体積変化(ΔV)の粘度依存性を明らかにした。純成分のΔHは4kJ/molであり低粘度溶媒の添加とともに増加し、また高粘度溶媒の添加とともに減少した。昨年度報告したように活性化エンタルピーの溶媒粘度依存はすくなく、回転異性化にともなうポテンシャルの高さは粘度に依存しその原因はΔHにあることが明らかとなった。また、ΔVも粘度に依存し大きく変化することが明らかとなった。低粘性溶媒中では、5cm^3/molであったΔVは高粘性溶媒では1cm^3/molまでに減少した。ΔVの変化は回転異性体の局所構造が低粘度溶媒と高粘度溶媒では大きく異なることを意味している。これは異性体と溶媒との相互作用を反映するΔHの結果からも予想される。 これに対しsec-臭化ブチルの回転異性反応の速度定数の粘度依存性がKramersの理論からのずれが観測されたが、この原因は活性化エンタルピーよりも溶質・溶媒間の相互作用が大きく変化したためであると結論される。今後は、以上の点を考慮した速度定数の粘度依存性の理論を展開する計画である。
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