研究概要 |
1.イメージングプレート迅速X線回折法を用いて、温度100-40℃、圧力50-150MPaにおいて水の構造を決定した。その結果、特徴的な氷類似の四面体構造は圧力よりも温度に顕著な影響を受けることがわかった。超臨界温度においても2.85Aの水素結合相互作用は減少するがなくならない。 2.(^0Li,^7Li)および(^<35>Cl,^<37>Cl)同位体を用いたLiCl重水溶液の中性子同位体置換法により,水の超臨界温度におけるLi^+とCl^-イオンの水和構造(結合距離、配位数,水分子の配向相関)を明らかにした。Li-OおよびLi-D距離は常温に比べてやや長くなるが、水和数は常温の約4から3に減少した。一方、Cl-DおよびCl-O距離も常温よりわずかに増加したが、水和数は常温の約6から3に減少した。これらの結果は超臨界温度でLi-Clイオン会合がおこることを示唆した。 3.中性子同位体置換法のデータを用い、球面調和関数展開により常温から超臨界温度に至る塩化物イオンの水和構造を3次元で表現することに成功した。その結果、超臨界温度では水和水分子の配向相関が弱まっていることが明らかになった。 4.イメージングプレート迅速X線回折法により、温度25-253℃、圧力0.1-260MPaにおいてメチルアルコールの構造を決定した。超臨界状態ではメチルアルコール分子間の水素結合が弱まり、鎖状構造が崩壊していることを示した。
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