研究課題/領域番号 |
06453031
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
辻 孝 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (20029482)
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研究分担者 |
大北 雅一 北海道大学, 助手 (60211786)
今井 敏郎 北海道大学, 大学院理学研究科, 講師 (80184802)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
1995年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
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キーワード | シクロファン / デュワ-ベンゼン / 歪み化合物 / 芳香族性 / 高歪み化合物 / 多環化合物 / 光反応 |
研究概要 |
1.先に我々がその生成に成功した[4]パラシクロファンは、既成パラシクロファン中最高度に変形したベンゼン環をもつ化学種であるが、熱的に極めて不安定であって低温マトリックスの中でのみ安定に存在しうる。そのため、電子スペクトルを除いてその物理・化学的性質は明らかでなかった。本研究において種々の置換基の導入による[4]パラシクロファンの速度論的安定化を検討した結果、その橋頭位を立体的に遮蔽する置換基によって安定化されることを見い出し、^1HNMRの測定に初めて成功した。その結果は、[4]パラシクロファンの高度に変形したベンゼン環においてもなお反磁性環電流が誘起され芳香族性が維持されていることを示唆した。さらに、同系に非経験的理論計算による検討を加え、実験結果を支持する結果を得た。 2.Dewarベンゼンはベンゼンの原子価異性体であるが、ベンゼンよりはるかに高エネルギーの化学種であってその異性化によってベンゼンの電子励起状態が生成し得るほどである。したがって、その逆過程は通常認められない。先に[4]パラシクロファンの速度論的安定化に成功したが、その寿命が対応するDewarベンゼンへの熱異性化によって規定されていることを見い出した。この結果は、同異性化を実験的に初めて認めたものであり、[4]パラシクロファンが高度変形ベンゼン誘導体として存在し得る限界の化学種であることを示すものである。 3.[4]パラシクロファン前駆体であるDewarベンゼン誘導体の構造変換を利用して、新規不飽和多環化合物tricyclo[4.2.2.2^<2.5>]dodeca-1,3,5,7,9,11-hexaeneの化学的捕捉に成功し、その生成が初めて裏付けられた。
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