研究概要 |
三方両錐型の10-Sb(V)-5,一つの孤立電子対を持つ擬三方両錐型の10-Sb(III)-4,八面体型の12-Sb(V)-6および二つの孤立電子対を持つ擬三方両錐型の10-I(III)-3の超原子価化合物の化学結合,特に3中心4電子結合で説明されるX-Sb-X,O-Sb-X,O-Sb-O,N-Sb-X,C-Sb-X(X=ハロゲン)およびCl-I-Cl,Cl-I-O,O-I-O超原子価結合について,^<121>Sbと^<127>Iメスバウアー分光法と単結晶X線構造解析により研究を行なった. メスバウアー分光法によって,s電子とp電子を区別してその電子分布を知ることにより,超原子価結合(3中心4電子結合)の本質に実験的にかなり迫ることが出来,次のことを明らかにした. (1)Sb-X結合ではアンチモンの5s,5P_z軌道ともに結合に関与して,s性とp性があるが,Sb-O結合ではp性が主である. (2)I-OとI-Cl結合において,ヨウ素の5s軌道は結合にほとんど関与せず,専ら5P_z軌道が関与している. (3)三方両錐型10-Sb(V)-5と八面体型12-Sb(V)-6におけるO-Sb-X結合の性質は極めて類似している. (4)E-Sb-I(E=O,I,N,C)3中心4電子結合において,ヨウ素上の負電荷はSb-Iの結合の強さに依存し,また原子Eの電気陰性度に依存している.
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