研究概要 |
1。2-デオキシ-D-リボフラノース型ホスファ糖の合成。Lーリンゴ酸を出発原料として、4段階(メチルエステル化、O-MOM保護、LAH還元)で3-デオキシ-2-O-MOM-L-テトリトールを得、これを1,4-O-メイル化の後、NaH存在下DMSO中でフェニルホスフィンを作用させると、不安定なホスホラン誘導体が得られる。これを過酸化水素処理、次いで酸処理することにより,(1R/S, 3S)-1-フェニルホスホラン-3-オール-1-オキシドが得られる経路が確立された。現在、ベンジルオキシメチル化等による増炭反応によりを目的とする2-デオキシ-D-リボフラノース型ホスファ糖誘導体を合成する経路を検討中である。2。新規L-アラビノフラノース型ホスファ糖の立体選択的合成。同様な手法で、L-酒石酸ジメチルを出発物として、(3S, 4S)-3, 4-ジ-O-メチル-1-フェニルホスホラン-2, 3-ジオールが得られ、これを過酸化水素処理することにより、定量的に1-オキシド誘導体が合成できた。この増炭反応により目的物への誘導についても現在検討中である。一方、L-酒石酸ジエチルから導かれる、1, 4-ジブロモ-及び1, 4-ジヨード-1, 4-ジデオキシ-2, 3-ジ-O-メチル-L-スレイトールとジエチルホスホナイトとのアルブゾフ反応を行うと、分子内で容易にO-閉環した4, 5-ジメトキシ-2-オキソ-2-フェニル-1, 2-オキサホスホリナンが環リン原子のジアステレオマ-混合物として収率89%で得られた。3。酵素拮抗活性研究。いくつかのホスファ糖の調査の中で5-デオキシ-5-[(R)及び(S)-フェニルホスフィニル]-β-D-キシロピラノースでβ-グルコシダーゼについて、わずかながらの阻害活性は認められた。その他のホスファ糖につき、酵素阻害活性の精査およびそれ以外の生物活性探索についても今後検討予定である。
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