研究課題/領域番号 |
06453079
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
井川 博行 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (30016612)
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研究分担者 |
小俣 孝久 神奈川工科大学, 工学部, 助手 (80267640)
林 剛 西東京科学大学, 理工学部, 教授 (70016385)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1995年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1994年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 電気粘性 / チタン酸バリウム / 強誘電体 / サイズ効果 / 界面活性剤 / 電気粘性流体 / 電気粘性効果 |
研究概要 |
○チタン酸バリウムならびにBa_<0.8>Sr_<0.2>TiO_3の加熱温度が電気粘性効果に及ぼす影響 水熱合成のBaTiO_3とBa_<0.8>Sr_<0.2>TiO_3の微粉末(粒径0.1μm)を原料として用いた。このBaTiO_3のX線回折指数200には、強誘電体で本来的なピーク分裂が全く認められない。それを各温度で2時間加熱すると、750℃では不明瞭であるが800℃では分離が明瞭になり、1000℃で本来の正方晶の分裂状態に近くなった。 このBaTiO_3を10vol%添加したシリコンオイルを長時間混合し、十分に解砕した流体の電気粘性効果を回転円筒式粘度計により測定した。その結果、次の興味深い現象を発見した。即ち、電気粘性効果(2kV/mmの直流電場による剪断応力の増加)が焼成温度により変化し、70℃焼成粉で極大となり、明らかに強誘電体である1000℃焼成粉では低下する。 Ba_<0.8>Sr_<0.2>TiO_3について類似の実験を行ない次の現象を明らかにした。即ちこの原料でも、X線回折線の分裂が明瞭になる直前の900℃で焼成した粉体分散系で電気粘性効果が極大になる。2種粉体について共通に観測されたこの現象は、強誘電体を分散した系の電気粘性に普遍的であると考えている。さらに、各焼成粉の静水圧(1.5GPa)円盤状圧密体を試料として得た次の結果は、分散粉の焼成温度と電気粘性効果との奇妙な関係を解く鍵になると考えられる。即ち、BaTiO_3の見掛けの比誘電率が原料で240、700℃焼成で、380、1000℃焼成で180となり、比誘電率が最も大きい700℃焼成物で電気粘性効果も極大となる。 ○チタン酸バリウムへの界面活性剤の吸着と絶縁油中への分散 界面活性剤の吸着様式につき研究した。即ち、所定量のエタノール溶媒とチタン酸バリウムに、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)あるいはα-オレフィンスルホン酸ナトリウム(OS-14)の添加量を変化させた分散系を作製した。その結果つぎのことなどが判明した。(1)エタノール中に良好に分散したチタン酸バリウムのζ電位は約+40mVである。 (2)SDSの添加量が50mg/g-BaTiO_3まではζ電位が低下するが、それ以上の添加してもζ電位は+16mVでほぼ一定になる。 (3)OS-14の添加量が16mg/g-BaTiO_3でζ電位がゼロまで低下し、それ以上添加するとζ電位は負になる。 ○チタン酸バリウムの表面処理が電気粘性効果に及ぼす影響 前記BaTiO_3ならびにその焼成物をトルエンを媒体としてポリブチルメタクリレート(PBMA)と強力に攪拌混合した。この粉体を絶縁油に分散させ、前記と同様に測定した。その結果、PBMA表面処理により分散系の見掛けの粘度が未処理の1/5以下に低下する、それに伴い電気粘性効果の大きさも半分以下に減少することが判明した。
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