研究概要 |
電磁粉体プロセス工学の創生をめざして,金属粒子の表面にプラスチックス膜,あるいは,セラミックス粒子をコーティングする実験的研究を行った。実験装置はプラスチックスまたはセラミックス粉体を窒素によって流動化させる石英ガラス製流動層,層の内部に高周波電磁場を形成させるためのコイル,および,コイルに高周波出力を印荷するための高周波電源からなる。流動層に高周波電磁場を形成させても,プラスチックスおよびセラミックス粒子は非導電性であるため全く温度が上昇しないが,層頂より金属粒子を投入すると,流動層内のコイル部分を落下する間に,電磁誘導により選択的に温度が急上昇し,コイル部を通過すると温度が下降する。セラミックス粉体の場合には,金属粒子の表面温度をその融点以上に昇温させることにより層の粉体を均一にコーティングすることが出来た。プラスチックス粒子の場合には,粒子温度をプラスチックス粒子の融点以上にまで昇温すれば充分であり,金属粒子の表面上にプラスチックスの膜を形成することが出来た。プラスチックス膜の厚さは,印荷電圧と流動化ガス流速を調節することにより,幅広く制御できることが明らかになった。 ことに,金属粒子にプラスチックスをコーティングする技術は,廃棄物の利用法の一つとしてきわめて有力であり,廃プラスチックス粉を利用して製造したコーティング粒子を原料として,1)多孔質あるいは緻密なプラスチックスと金属粒子との複合成形体の製造,2)金属粒子が均一に分散した複合シートの製造,などの広範な利用が期待できる。 以上,本研究により新しい廃棄物利用法の目途が得られ,当初予期していた以上の成果が得られた。
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