研究概要 |
光化学反応では,酸化と還元の両方の反応が同時進行するため,光化学的なCO_2の還元では酸化反応部分を迅速に除去するため専ら犠牲還元剤が用いて使用されてきた。しかし犠牲還元剤は消耗品であるので,犠牲還元剤の代わりに電気化学的に還元する方法を開発するため,光活性錯体を含浸させた修飾膜電極について探索的に検討を進めた。光化学反応系としては,よく研究ささているRu錯体イオンRu(pby)_3^<2+>(トリス(2,2ビピリジル)ルテニウム)とMV^<++>(メチルビオロゲン)系の他に,トリス(ビピラジン)ルテニウム(Ru(pbz)_3^<2+>)を増感剤・電子メディエーターとして用いた。犠牲還元剤の代わりに酸化反応部分を電気化学的に還元するには,光化学的反応を電極近傍で進行させることが必要である。このためPt電極表面にNafionを塗布し薄膜を作り,これにRu錯体イオンを含浸させた。さらにRu(pby)_3^<2+>の場合にはその上にもう一層Nafion薄膜を塗布してMV^<++>を含浸させることにより,修飾膜電極を作製した。これらの修飾膜電極の光応答性ならびCO_2の還元特性について次のような成果がえられた。 □光応答性があり,光増感/電子リレー/還元反応のサイクルが進行することが確認された。 □Ru(pby)_3^<2+>の場合にはCO_2を還元するには,修飾膜を2層にして電子メディエータとしてMV^<++>を含浸させる必要があったが,Ru(pbz)_3^<2+>の場合には修飾膜電極だけでCO_2をぎ酸に還元させられることが判った。 □Ru(pby)_3^<2+>の場合には修飾膜表面に白金微粒子を付着させることによた,CO_2が還元され,マロン酸と酢酸が生成することが確認された。白金の代わりにルテニウムを付着させた場合にはぎ酸と酢酸が生成した。 □液体炭酸や超臨界炭酸媒体中に粉末半導体を分散させることにより,CO_2が還元されてぎ酸が生成することが判った。
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