配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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研究概要 |
申請者らは,スルフェニル基の隣接基効果を利用する選択的合成反応の開発を行なった。まず,δ-位に対する隣接基関与を利用する遠隔不斉誘導の試みとして、オルト位に1-スルフェニルアルキル基を有するベンズアルデヒドあるいはそのアセタールを用い,Lewis酸触媒によるアルドール反応を行なった。その結果,嵩高いメシチルチオ基を有する基質を用いて反応を行なうと,高立体選択的に生成物が得られることが分かった。 次に、β-位に対する隣接基関与を利用する反応として,分子内に求核攻撃可能なオレフィン部位を有する基質から隣接基関与によりエピスルホニウムイオンを生成させることによって,容易に環化反応が進行することを見出した。エピスルホニウムイオンを利用することにより,各種の5または6員環が簡便かつ立体選択的に合成可能であり,各種のテルペン類やステロイド類の合成に極めて有用な手法であると考えられる。 さらに,このスルフェニル基の隣接基効果を活用する反応として,エポキシドの開環反応を検討した。エポキシドの2カ所の開環部位のうち,一方のみに隣接基関与が可能なグリシジルスルフィド類を用いて、アルキルアルミニウム試薬との開環付加反応を試みた結果,トリメチルアルミニウムなどの求核剤との反応では,位置選択的にスルフェニル基の関与する側で開環がおこり,また,完全に立体保持により反応が進行することが分かった。実際に昆虫フェロモンの不斉合成反応へと本反応を応用し、短行程,かつ高選択的な合成法を確立した。 アミノ基はスルフェニル基と同様,隣接基関与を起こす官能基として知られている。そこで,次に同様の反応をグリシジルアミン誘導体を用いて試みた。その結果,この場合もアルキルアルミニウムとの反応により,立体保持,かつ,位置選択的に開環付加反応が進行することを見出した。
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