研究課題/領域番号 |
06453151
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子構造物性(含繊維)
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
増子 徹 山形大学, 工学部, 教授 (40007216)
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研究分担者 |
彦坂 正道 広島大学, 総合科学部, 教授 (60087103)
米竹 孝一郎 山形大学, 工学部, 助教授 (30143085)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1995年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1994年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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キーワード | ポリオルガノホスファゼン / 高分子球晶 / 結晶変態 / メソモルフィック状態 / 脱偏光強度 / 複屈折 / 偏光赤外吸収スペクトル / 熱解析 / 脱偏光強度測定 |
研究概要 |
結晶性ポリオルガノホスファゼン(POP)は結晶状態から分子鎖が2次元規則的に配列したメソ相(δ相)に変化する。この転移温度はT(1)温度と呼ばれ、融点とガラス転移点の中間に存在する。本研究では、2種のPOPについて、それぞれのδ相から等温結晶化を行い、得られた球晶形態と結晶変態との関係を考察した。 平成6年度の研究においては、ポリ[ビス(3,4-ジメチルフェノキシ)ホスファゼン]-PB(dM)PP-の球晶形態と結晶多形の関係について検討を行った。試料をδ相から室温まで徐冷する過程を偏光顕微鏡とX線回折により観察した結果、特定の温度で直径約20μmのA型球晶と、直径100μm以上のB型球晶が発生し、A型球晶の結晶系は斜方晶(単純格子;α晶)、B型球晶を構成する結晶は斜方晶(底心格子;β晶;本研究で始めて見出す)へ帰属された。A型、B型球晶は、いずれも光学的に正で、明瞭なマルテ-ゼ・クロスを有する。A型球晶(α晶)は94℃以上でδ相へ転移する一方、B型球晶(β晶)はその形態を保持し、108℃以上ではβ晶もδ相へ転移した。 引き続いて平成7年度の研究では、PB(dM)PPの等温結晶化実験を行った。その結果、球晶形成の結晶化温度(Tc)領域を次のように分類した。 領域I:Tc≦59℃ A型球晶が主として出現 領域II:60℃≦Tc≦72℃ A型球晶とB型球晶が混在して出現 領域III:Tc≧72℃ B型球晶のみが出現 これを参考に、結晶変態生成の熱力学的考察を加えた。また、上記B型球晶については、成長速度を評価することが出来た。このB型球晶の半径方向と接線方向に平行な偏光赤外吸収スペクトルを詳細に調べたが、複屈折を示すにも係わらず二色性は認められない。この現象を説明するために新たな球晶モデル構造を提案した。 一方、ポリ[ビス(4-エチルフェノキシ)ホスファゼン]-PB(4E)PP-の球晶形態についてPB(dM)PPと比較検討した。試料をδ相(250℃)に加熱すると、無数の針状組織が現れ、時間と共に長軸方向に成長する様子が確認された。その後、250℃から急冷し75℃で等温結晶化させると、針状晶が形成された後、その周囲より小型の球晶(A型球晶)が出現した。結晶化した針状晶のT(1)は118℃に存在することから、最も熱的に安定である。150℃のδ相から75℃で生成した球晶は、T(1)=100℃であった。また融液相(350℃)から75℃で出現した大型の球晶(B型球晶)のT(1)は93℃で、熱的に最も不安定であった。PB(4E)PPは結晶多形を示さないので、A型球晶、B型球晶、針状晶の熱安定性の差は、それらを構成するラメラの厚さに起因すると考えられる。このポリマーの融点以上で高温X線回折を行ったところ、いわゆる液体構造とは異なる凝集構造の存在することを認め、従来のPOPに関する相転移挙動を見直す必要があることを確認した。
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