配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1995年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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研究概要 |
著者の開発した高立体選択的分子ミカエル反応及び分子内ミカエル-アルドール反応(J.Am.Chem.Soc.,110,1963,(1988),112,1964(1990)114,4408(1992),115,8107(1993))を更に発展させその応用面の拡大を期し研究を行った。先ず基質を巧みに設計することにより、一回の化学操作にて分子内で連続的に3回の反応を行わせ一挙に多環性化合物を合成する二の新化学反応、intramlecular randem reactionを開発し得た。続いて官能基の異なる基質に対しこの新反応を適用し、一般性及び応用範囲の拡大とその限界を求め分子内Michael-Michael-alkylation及び分子内Michael-Michael aldol反応を確立し得た。更にchiral auxiliary存在下での不斉合成を行い新しい合成方法論の確立をはかり、ジドロキニジン-TBSOTf-AlMe_3-CuBr_2系を用いることにより光学純度60%で目的化合物を得た。最後にこの新反応の有用性を実証するため、上記の成果に基ずき多数の不斉中心の存在と多環性化合物であるため従来の方法では合成が困難な生理活性化合物の高選択的な合成を行い、先ず分子内多重ミカエル反応を鍵反応とする検討においては、α,β-不飽和エステル系を有するシクロペンテノン及びシクロヘキセノンを基質として活用し、相当するtricyclo[4.3.0.0^<3.7>]decane,tricyclo[6.3.0.0^<3.9>]undecane及びtricyclo[5.2.1.0^<1.5>]decane(A)系化合物を立体選択的に、しかも好収率で合成する反応を開発し得た。なお、これらの系を有する化合物は他の化学的手段では極めて合成し難い。次いでAを利用し、セスキテルペンの一種cedranediolの全合成を完成した。 上記の如く、本研究は有用で汎用性のある超効率的な新化学反応を開発することに成功し、有機合成化学の発展ひいては医薬品開発に貢献することができた。
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