研究分担者 |
今井 剛 山口大学, 工学部, 助手 (20263791)
関根 雅彦 山口大学, 工学部, 助教授 (30163108)
浮田 正夫 山口大学, 工学部, 教授 (60035061)
中西 弘 山口大学, 工学部, 名誉教授 (70035020)
深川 勝之 宇部高専, 物質工学科, 教授 (20043870)
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研究概要 |
(1)複合処理装置による難分解性廃液処理実験:複合処理装置(上向流式嫌気性ハイブリッドブランケット(UAHB)法+二段接触酸化法)による廃液処理の基礎実験では,上部に嫌気性ろ床を設け,処理水還流を行わない方式を導入することにより,明らかに装置下部での自己造粒化を促進させる効果が認められた。また,自己造粒後も安定した汚泥濃度が維持され,TOCは下部で80〜85%,上部で10〜20%除去された。意図的に撹拌を行わなかったこの装置では,反応器下部において酸発酵菌とメタン発酵菌との棲み分けが行われ,二相嫌気消化の自己造粒プロセスが構築された。次にこの複合処理装置によって,従来処理が困難であり海洋投棄に委ねられてきた硫酸塩等の各種の塩類・アミノ酸および有機物を高濃度に含むアミノ酸系発酵工程廃液の処理実験を行った.UAHB法による廃液処理では,スラッジベッド上部にろ床を設けるこのUAHB装置の有効性が実験的に明らかとなった.また,反応槽内のpHを制御することにより,メタン発酵菌と硫酸還元菌との共存が成立し,硫酸還元菌によるメタン発酵菌への阻害の発現を阻止し得たことは,大きな研究成果であると考えられる.二段接触酸化法による,UAHB装置からの処理水中に残存する有機物のさらなる浄化とアンモニア性窒素の硝化については,UAHB装置に流入する基質の濃度および水理学的滞留時間の変動によりその処理水,すなわち二段接触酸化装置への流入水の濃度が変化したにも関わらず,有機物除去に関しては良好な処理結果が得られ,硝化についてもほぼ満足できる結果が得られた. (2)高塩類・高濃度有機性廃液処理:装置のスタートアップ段階において塩分希釈馴致を行った結果,塩分存在下での難分解性のスルファニルアミンの分解が可能となり,一段目で酢酸を分解させ,2段目でのスルファニルアミンを分解させる2段生物膜法が実用化の見通しが得られた. (3)膜分離高濃度活性汚泥法:オゾンによる難分解性物質の易分解性物質への変換が実証でき,3段処理による写真廃液処理の有用性および実用化の見通しが得られた. 研究期間内において本研究の目的である,従来海洋投棄に頼ってきた難分解性廃液の陸上処理法の確立に関する基礎的な知見は充分に得られたと考えられる.
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