配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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研究概要 |
我が国のペルム系・三畳系の境界の研究は,最近の諸外国での研究の進展とともに大方の関心を集め,まず遠洋性岩相での検討が始まりかなりの成果が報告されてきた。しかし石灰岩相での研究は1960年代の知識の水準で,諸外国のそれに比べて決して十分とはいえない状態であった。本研究は3年前の現状に鑑み立案計画された。 石灰岩相でこの境界が十分期待できるセクションとして,宮崎県高千穂地域,四国田穂石灰岩,岐阜県大垣市赤坂石灰岩,東京都奥多摩御前山石灰岩,栃木県安蘇郡葛生石灰岩,北海道上磯石灰岩,同じく目梨泊地域などが選択された。本研究ではこれらの地域で詳細な層序の再検討と,炭酸塩岩の採集ならびに微化石を主体とする化石層序学の設定と微岩相との関連を検討した。その結果含有する微化石としては,コノドント・小型有孔虫・フズリナ目有孔虫・石灰藻類等が識別された。これらはそれぞれの生存期間が柱状図中に特定され,かなり詳細な時代を確立することができた。しかし,地域によってはP/T境界部で著しく化石に乏しく,化石層序学的な区分が不十分のセクションもある。炭酸塩岩の微岩相やドロマイト化作用を受けた層準等には,諸外国との強い類似性が認められた。炭質物に富んだ石灰岩層もセクションによっては層準が特定され,P/T境界に於ける生物の大絶滅を引き起こしたとされる環境変遷との反映が読みとれ,最近中国等で解析された境界を含むセクションとの対比が十分可能となった。 さらに,栃木県葛生などに見られた特異な堆積相を示す石灰岩礫岩は,P/T境界と時間的に一致しないものも含まれるが,突発的な海水面変動によると見られるtsunamite,tempesite,inunditeなどである可能性が強くなり,境界問題に関連して詳細な解明が要求される新しい研究テーマが得られた。
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