研究課題/領域番号 |
06454010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河野 昭一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30019244)
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研究分担者 |
寺内 良平 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50236981)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | シロイヌナズナ / マイクロサテライト・マーカー / 植物分子生態学 / 分子集団遺伝学 / 生態型 / 表現型可塑性 / 集団分化 / 形質発現 / アロザイム / DNA / メタ個体群 / ブナ / アメリカブナ / Uvularia / マイクロサテライトマーカー / オニドコロ / フタバガキ / シロ イヌズナ / 集団解析 / Arabidopsis / Dioscorea / Dryobalanopsis |
研究概要 |
マイクロサテライトとは、2-6塩基の短いモチーフ配列が繰り返し直列に並んだDNA領域のことを指し、真核生物のゲノム中に高頻度で含まれている。近年のPCR (polymerase chain reaction)法の発展にともない、モチーフ配列の繰り返し数は高度に多型的で、固体レベルの遺伝的変異の検出に有効なマーカーであることが明らかとなった。このような特徴から、マイクロサテライトマーカーは親子鑑定や犯罪捜査に利用される一方、有用動植物の選抜・育種などにも利用されている。 アブラナ科のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)は、ゲノムサイズが小さく、突然変異固体の作出や形質転換の系が確立していることから、多くの植物科学の領域でモデル植物として利用されている。特に80年代後半からの形態形成や信号伝達の研究ではめざましい業績があげられた。その反面、野性植物としてのシロイヌナズナの生態や分化に関する研究は後退したままになっている。以上のような状況を鑑み、本研究では、日本産野性シロイヌナズナ集団のマイクロサテライト多型を解析することにより、以下に述べる2つの問題に取り組んだ。 1)日本産野生シロイヌナズナ集団の類縁関係 29種類のマイクロサテライトマーカーを用いて、12の野生シロイヌナズナ集団の遺伝的多様性および集団の類縁関係を解析した。結果を要約すると、i)シロイヌナズナは調査したすべての遺伝子座でホモ接合になっていることから、自殖性の高い交配様式であることが明らかとなった。ii)各マイクロサテライトの繰り返し数は集団間で異なるものの、集団内での変異は見られなかった。iii)地理的に近接した集団の遺伝的類似度が高いとは限らないことから、起源の異なる祖先集団の移入とその後の遠隔地への侵入が起こったことが示唆された。これらの結果は、すでにJpn. J. Genet. (1995)誌上で公表されている。 2)シロイヌナズナの開花特性に関与する遺伝子のマッピング 1)で用いた集団について、11の生活史形質を解析した結果、開花までの日数や果実数など多くの形質で集団間分化が生じていることが明らかとなった。中でも、開花までの日数は生活史形質の進化を考察する上で重要な形質であるだけでなく、突然変異株などを用いた分子発生学的な解析も進んでいる形質である。そこで、交配実験およびマイクロサテライトマーカーを用いた連鎖解析から、開花までの日数に関与する遺伝子の染色体上での位置の特定し、その遺伝学的な基礎を確立することを目指した。これまでの結果を要約すると、i)日本産野生シロイヌナズナ集団に見られた開花までの日数の変異は、2つの遺伝子座(FRIとFLC)によって制御されていた。ii)両遺伝子座の対立遺伝子の組成から2つの遺伝子型が識別された。同時に、両遺伝子型は開花までの日数の長いエコタイプと短いエコタイプのグループにそれぞれ対応した。iii)2つの遺伝子型の一方(開花までの日数の短いエコタイプ)は、これまでに発表された遺伝子型とは異なる新しい組成であった。今後は、連鎖解析の完結と両遺伝子座のクローニングを推進する予定である。
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