研究概要 |
2年間の研究により,葉緑体DNAと結合する3種類のタンパク質PD1,PD2,PD3をコードするcDNAの塩基配列を取得し,その塩基配列を完全に決定した。 1.PD1は347アミノ酸残基からなり,AT-hookモチーフを2個含んでいた。同じモチーフをもつ核のHMG-I/Yタンパク質とは似ていなかった。また,膜貫通領域を持っていることが,従来報告されているAT-hookタンパク質とは決定的に異なっていた。抗PD1抗体を用いたウェスタン分析では,葉緑体で50kDaと87kDaのバンドが検出されたが,核でも40kDaのバンドが検出された。葉緑体の50kDaタンパク質は核様体コアに,また87kDaタンパク質は包膜に検出された。PD1は,恐らく50kDaのタンパク質に対応するものと考えられる。サザン分析と5個のcDNAクローンの解析の結果から,PD1は多重遺伝子族を形成していることが推定された。 2.PD2は,632アミノ酸残基からなるb-ZIPタイプのDNA結合多重であった。中央部に37アミノ酸残基からなる6回繰り返し配列があることが特徴である。C末端に膜貫通領域を持つが,抗体との反応の結果,包膜に存在することがわかった。 3.PD3は1629アミノ酸残基からなり,AT-hookモチーフを5個含んでいた。中央には,C..Cモチーフが8個あり,金属との結合が考えられる。ウェスタン分析の結果,PD3は,葉緑体核様体と包膜の両方に局在することがわかった。また,葉緑体内で切断されて2種類のポリペプチドとして存在することがわかった。
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