研究概要 |
1.イネ(品種アキヒカリ)からの再生個体の減数分裂について調査した結果,一価染色体や逆位等の変異が認められた。また、再生個体次世代について調査した結果,アルビノ,キサンタ,アルボビリティス,ストライプが核遺伝子支配として分離してきた。また長期培養により短天稈,早生個体が出現したことから実際の育種上重要な形質が得られることが推定される。 2.Nicotiana sylvestrisの健全葉抽出液でN. sylvestrisのカルスを培養したところ,2n=24の正常染色体数を持つ細胞頻度が高まった。これは抽出液になんらかの染色体数コントロール要因が含まれていることを示唆する。しかし実験量が少ないので今後さらに実験が必要と思われる。 3.Hygromicin耐性遺伝子で分断された状態のGUS遺伝子を含むplasmidでイネとタバコを形質転換し,HYG^Rのカルスを得た。相同配列の組換えによって回復するGUS活性は,タバコでは根,茎および葉でも確認されたがイネでは確認出来なかった。 4.トウモロコシのトロンスポゾンであるMuDRと部分的に相同であるイネのクローンが発見された。しかし細胞培養中にこのクローンが活性を持つことはなかった。イネで他に活性のあるトランソポゾンが見つかっているので,さらに深い研究が望まれる。 5.紫外線(UV-B)を照射したダイズの芽生えの全RNAの遺伝子特異的な領域をRT-PCRによって増幅したところ,UV-B特異的発現量の増大は第一,第三,第七の遺伝子に見られたが,第五遺伝子が顕著であった。今後培養による細胞変異を利用して,紫外線耐性作物の育成を試みる。
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