レタスを明条件で発芽させ、この子葉から分離したプロトプラストでは、蛍光顕微鏡で観察すると葉緑体による赤い自家蛍光が強く、弱いFITCの蛍光を観察のことが困難なことがあった。そのために暗処理することにより黄化した幼苗から白色のプロトプラストを分離し、全実験で用いた。 まず、非特異的反応の起こる範囲を調べた。2次抗体の原液をPBSにて10、20、40および80倍に希釈し、1次抗体無処理のプロトプラストと反応させた。本実験条件下では40倍以上の希釈で殆ど蛍光が観察されなかった。それ故に以後の実験では主として40倍或は80倍希釈した抗血清を用いた。 一方、1次抗体をPBSにて5、10、20、40倍に希釈して、それぞれをプロトプラストと反応させ、PBSで洗浄した後40倍希釈した2次抗体と反応させた。この結果非特異反応の少ない20倍或は40倍希釈を用いた。これらの条件で認められた細胞内の蛍光発色は植物ホルモンその存在を現しているものと推定した。 固定は比較的弱い1%ホルマリンを用いたが、一部のプロトプラストは破壊していた。また球形をしたプロトプラストにおいても外部に抗血清にプラスの反応を示す物質の漏失が認められた。 3種の植物ホルモンの何れにおいても細胞内での局在性は明かではなかったが、蛍光発色と核および細胞質との関係が推察された。
|