研究課題/領域番号 |
06454068
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
蚕糸・昆虫利用学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
相園 泰生 (相薗 泰生) 神戸大学, 農学部, 教授 (20089931)
|
研究分担者 |
角田 素行 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50127164)
竹田 真木生 神戸大学, 農学部, 助教授 (20171647)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
|
キーワード | Bombyx mori / Antheraea pernyi / PTTH-分泌 / 神経伝達物質 / 蛋白質リン酸化 / 蛹休眠 / 脳-側心体-アラタ体複合器官 / ムスカリン性アセチルコリン受容体 / 前胸腺刺激ホルモン(PTTH) / 脳-側心体-アラタ体 / PTTH分泌調節 / 蛋白質燐酸化 / 休眠覚醒 |
研究概要 |
昆虫の脱皮・変態・蛹休眠覚醒を上位で制御する前胸腺刺激ホルモン(PTTH)は、脳内神経分泌細胞の細胞体で合成されアラタ体まで伸びた軸索末端から分泌されるので、カイコ(Bombyx mori)幼虫5令3日目及び柞蚕(Antheraea pernyi)蛹の脳-側心体-アラタ体複合器官を用い、PTTHの分泌調節機構の解明を試みた。まず、Ca^<2+>-ion存在下、Ca^<2+>-ionophoreにより細胞内Ca^<2+>-ion濃度を高めるとPTTH分泌が促進されることから、この分泌は、Ca^<2+>-ionが関係する「刺激-分泌連関」であることを明確にした。そこで、細胞内Ca^<2+>-ion濃度を上昇させる神経伝達物質の効果を調べ、Carbachol、Serotoninが分泌を促進することを明示した。さらに、Carbacholの促進効果について、i)複合器官によるPTTH分泌に、Muscarineによって促進され、Atropine (Muscarine antagonist)によって抑制されるMuscarine受容体介在細胞内シグナル伝達が関与していること、ii) Phospholipase C、Protein kinase C (PKC)、Calmodulin (CaM)に対する特異的阻害剤が分泌を阻害することから、このシグナル伝達系に、Phosphatidylinositol-diPの分解産物であるDiacylglycerolとIP_3が活性化するPKC及びCa/CaM-PKによるタンパク質のリン酸化が関与していることを明確にした。さらに、CarbacholによるPTTH分泌促進に際し、32kDと21kDのタンパク質がCa/CaM-PKにより、また、25kDのそれがPKCによりリン酸化されることが明らかになった。このうち、25kDと21kDのリン酸化タンパク質は、PTTH-神経分泌細胞の軸索末端部位に局在し、PTTH分泌において、生理的に重要な役割を果たしていることを推定した。一方、昆虫の蛹の休眠覚醒の調節機構を明らかにするため、柞蚕休眠蛹について、明16時間-暗8時間の光周期条件下で、覚醒に至るまでの間、体液中のPTTH力価およびエクダイソン量の変動と、PTTH分泌を調節すると予測される神経伝達物質に対する脳-側心体-アラタ体複合器官の応答能の変動を調べた。その結果、セロトニン→神経内分泌細胞→PTTH分泌→前胸腺→エクダイソン分泌のカスケード系が蛹の休眠覚醒を調節していることが明らかとなった。
|