研究概要 |
1.オオアカウキクサ(A.japonica Franch et Sav.)は日本固有種と思われる。Azolla属の同定には生殖器官の携帯が重要であるけれど,多くのアゾラはなかなか生殖器官をつくらない。そこで,酵素のアイソザイムやDNAの多型性による化学分類によって日本各地から集めたオオアカウキクサの種別を試みた。 平成6年度は三重県と愛知県から集めたものと国際稲研究所のコレクションを用いてRAPD(Random primer Polymorphic DNA)でDNAの相似性を調べた。その結果,本邦産オオアカウキクサには少なくとも2種類のものがあることがわかった。一つはA.filiculoidesに近いもので,もう一つはA.rubraに近かった。 兵庫県と自然博物館の鈴木武は我々とは独立にアイソザイム分析をに基づいて本邦産オオアカウキクサには少なくとも2種類があること見つけていた。そこで鈴木武と共同研究を行った。採集株の交換を行い,供試株を増やした。RAPDの分析結果はアイソザイム分析結果と一致し,A.filiculoidesに近いものは,大阪,奈良,京都南部,筑後に分布し,A.rubraに近いものは関東,北陸,山陰,四国に分布していた。 2.A.filiculoides大阪株が5月に多数の大小胞子のう果をつけたので,それからF1個体を採取した。その後生存できた約50株についてSKD(shikimic dehydrogenase),PGI(Phosphoglucoisomerase),PCM(Phosphoglucmutase),EST(Esterase)のアイソザイムを調べた。ESTについては親と異なったアイソザイム型を示し,ヘテロ接合体であることが判った。
|