研究概要 |
本研究は,トラクタの主要構成部材である本体フレームを対象として,計算力学手法に基づく最適設計を適用し,全質量の30%以上の軽量化,そして複合材料の採用による低コスト化の実現に寄与する技術的設計手法の確立を目指すことを目的とする検討を行ったものである。当該研究期間に判明した知見の概要は,次の通りである。 1.最適設計におけるバイオニック・デザイン手法の位置づけを明確にし,主要な農業機械部材の設計に適用した実行例を示した。 2.8面体薄肉シェル要素を用いて,三次元本体フレームのモデルを作成し,形状最適化に係わる数値実験を行った。その結果,単純形状モデルであれば,60%内外の軽量化が比強度を犠牲にすることなく達成できることが分かった。 3.供試複合材料は繊維強化プラスチックス(FRP)とし,それを主要な構成部材としたフレーム模型を作成した。そして,応力集中箇所の特定とその形状変更及びその評価に関する技術情報を得た。 4.トラクタ形態形状や本体フレームのコンポーネント配置図は,IGESインターフェイスを用いて,NISAII SHAPEの操作環境に取り込むことができた。このような設計プロセスを踏むことにより,最適設計の質的向上を図ることができた。 5.繊維強化複合材の採用が軽量化に及ぼす総合評価は,製作費と構造強度の検討結果によるデータの裏付けが必要であることが確認できた。また,フレーム全域のモード解析についての検討も行った。 6.静的弾塑性解析により,構成材料の塑性域での変形状況や応力分布が明らかになった。
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