研究概要 |
胃壁細胞H^+-ポンプの細胞膜への選別輸送機構を,同じP型ATPase族に属するNa^+-ポンプを対照として調べた。輸送にはβ鎖が関与する可能性が指摘されており,β鎖の具体的役割を検証した。 1.α鎖の細胞膜への輸送にはβ鎖と複合体を形成することが必須である。複合体の形成にはβ鎖の細胞外(-S-S-)loopやα鎖のN末端領域が関与する。 2.両ポンプβ鎖は複合体形成については互換性があるが,機能的発現(ATPase活性の発現)については互換性が無く,それぞれに特異的領域が存在する。両β鎖間で各種キメラ体を構築し,特異的領域の抽出を実行した。細胞内側に位置するN末端領域は両β鎖間で機能的互換性があり,特異的領域は細胞外側領域に存在する。 3.細胞外側に位置する最もN末端側(-S-S-)loop(L_1)は,これを切断すると機能が消失し,且つL_1は両β鎖で互換性が無く,従ってこの領域は機能に関与する特異的領域の1つである。特に148位の残基が特異性の決定に重要である。 4.これらの成績を総説として報告した。
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