研究課題/領域番号 |
06454163
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西 勝英 熊本大学, 医学部, 教授 (00040220)
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研究分担者 |
徳冨 芳子 熊本大学, 医学部, 助手 (90253723)
徳冨 直史 熊本大学, 医学部, 助教授 (30227582)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | プロトオンコジーンc-kit / モノクローナル抗体(ACK2) / 麻痺性イレウス / ブラジキニン / アセチルコリン / ACK2に対する蛍光抗体法 / 自動運動のペースメーカー機構 / c-kit発現細胞 / 抗c-kitモノクローナル抗体(ACK2) / 胃平滑筋 / 細胞内Ca^<2+>濃度測定 / Ca^<2+>-activated K^+電流 / 膀胱平滑筋 / 自発性Ca^<2+>-activated K^+電流 / c-kit発現 / ryanodine感受性Ca^<2+>貯蔵部位 |
研究概要 |
レセプターチロシンキナーゼを発現するプロトオンコジーンc-kitは、メラノサイト、生殖細胞、造血細胞の発達に機能的な役割を果たしていることが知られている。西川らによって開発されたc-kitに対するモノクローナル抗体(ACK2)を、BALB/cマウスに生後2-4日間にわたり投与すると、腸管全体に麻痺性イレウスが発現することを見いだした。ACK2処置されたマウスの小腸を摘出して、酸素化したクレブス-ヘンゼライト液中で腸管の長軸方向運動(縦走筋)及び細胞内電位、輪状筋収縮を反映する腸管内圧を記録し、コントロール腸管の運動と比較検討した。ACK2処置小腸では、コントロール腸管に見られるような規則正しい蠕動運動および電気的徐波(slow wave)の発現はなく、不規則な一過性の収縮が観察された。ACK2処置小腸の縦走筋標本では、ブラジキニン(Brd)に対する反応性が高く、10ngの投与により顕著な拘縮反応を示した、アセチルコリン(ACh)に対する反応性は、コントロール腸管より高く、用量依存性に収縮し、アトロピン前処置により、抑制された。しかし、輪状筋収縮を反映する腸管内圧はアセチルコリンにより内圧の低下が見られ、この反応には、コントロールとの差が認められなかった。ACK2に対する蛍光抗体法を用いて、ACK2処置小腸標本を組織学的に検索した結果、コントロール腸管では観察される粘膜下腸管平滑筋層に見られる細胞に蛍光反応は見られず、これらの細胞群に欠如があることが判明した。これらの細胞群は、壁在神経細胞群、平滑筋細胞とは異なっていた。 以上の結果より、ACK2処置マウスに見られる腸管運動の異常は、ACK2処置によるc-kit発現の阻害に起因する細胞群の機能不全によるものと考えられ、腸管の自動運動のペースメーカー機構の一端をこの細胞群が担っていることを示唆している。また、c-kit発現細胞の欠如は、隣接する平滑筋の収縮機構にも影響を及ぼすことが明かとなり、本細胞は腸管機能発現に重要な役割をもつことが判明した。
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