研究課題/領域番号 |
06454188
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉木 敬 北海道大学, 医学部, 教授 (60220612)
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研究分担者 |
池田 仁 北海道大学, 医学部, 助手 (20232192)
脇坂 明美 北海道大学, 医学部, 助教授 (90113646)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1994年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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キーワード | HTLV-1 / 疾患モデル / HAM / TSP / 脱髄 / トランスジェニックラット / 乳癌 / 自己免疫疾患 / アポトーシス / HTLV-I |
研究概要 |
HTLV-1の病原性の解析を目的として以下の3種類の疾患モデルラットを作製、解析した。 1.HAMラット:HTLV-1感染WKAH系ラット脊髄抹消神経症では脱髄性変化に先行して、感染後9か月頃より局所に漸増するオリゴデンドロサイトのapoptosisが証明された。HTLV-1プロウイルスは全身緒臓器で証明されたが、pX発現は病変脊髄および抹消神経に比較的特異的であった。また、病変局所にTNF-〆の産生を確認した。このpXおよびTNF-〆の発現はともに感染後7か月頃より観察された。したがって、HTLV-1感染による直接的あるいはTNF-〆などを介した間接的な髄鞘形成細胞のapoptosisがこのHAMラットの主病因であると考えられた。 2.pXラット:生後5か月頃から顆粒球浸潤を伴う未分化乳癌を高率に発生するマウスH-2プロモーターpX発現トタンスジェニックラットを樹立した。このpX乳癌ではpXの高発現のほかMIP2、Groの高発現を確認した。しかし、検索し得た乳癌関連遺伝子の発現や差異は確認されず、pX乳癌の発生には未知の発癌機構が関与している可能性が考えられた。さらに、pX乳癌細胞株を樹立、無血清下培養でapoptosisを誘導した。 3.env-pXラット:LTRをプロモーターとしたenv-pXトランスジェニックラットを樹立、生後5週齢頃より慢性関節リウマチ様関節炎、多発性結節性動脈炎様壊死性血管炎、多発性筋炎、心筋炎、シェ-グレン症候群類似の唾液線炎や涙腺炎など自己免疫疾患類似の病変を発症した。さらに、CD4CD8陽性細胞の減少を伴う胸腺萎縮も観察した。免疫学的にはリウマチ因子、抗dsDNA抗体および抗カルジオリピン抗体などの自己抗体のの存在や抹消リンパ球の自立性増殖、スーパー抗原に対する反応性の亢進を観察した。したがって、HTLV-1 env-pX遺伝子はその宿主に対して種々の免疫性疾患や自己免疫現象などの免疫異常を誘導する可能性が示唆された。
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