研究課題/領域番号 |
06454213
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
西連寺 剛 国立予防衛生研究所, 感染病理部, 室長 (10117351)
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研究分担者 |
松田 道行 国立予防衛生研究所, 感染病理部, 主任研究官 (10199812)
小島 朝人 国立予防衛生研究所, 感染病理部, 室長 (30100077)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1995年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1994年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | EBウイルス / EBV前初期遺伝子蛋白(ZEBRA) / EBV活性化 / EBV遺伝子発現 / ZEBRA分子の多様性 / IL-10 / ZEBRAモノクローナル抗体 / EBV遺伝子BCRF1蛋白 / EBウイルス(EBV) / EBV 前初期遺伝子蛋白(ZEBRA) / ZEBRAのリン酸化 |
研究概要 |
1.EBウイルス(EBV)前初期遺伝子BZLF1の発現及び蛋白ZEBRA分子の解析について: EBV前初期遺伝子BZLF1蛋白、ZEBRAは、EBV活性化を開始させ、EBV複製サイクルを促進する転写因子である。本研究において以下のことを明らかにした。(1)EBV活性化のシグナル伝達において、BZLF1のプロモーター領域を解析した。(2)ZEBRA発現E.coli(TRP-E.ZEBRA)にてZEBRAを発現させ、BALB/cマウスを免疫してZEBRA mAbを得ることに成功した。(3)ZEBRA mAbで、Akata,B95-8及びP3HR-1細胞で発現されるZEBRAの分子量の違いを明らかにした。(4)種々のEBV株によってトランスフォームしたB細胞株及びEBV重感染によるZEBRAの発現及び多様性の機構を解析した。(i)同一成人からのヒト末梢Bリンパ球をAkataまたはB95-8 EBVでトランスフォームした細胞株では、それぞれAkataまたはB95-8細胞で発現される39及び36KdのZEBRAが検出された。(ii)異なったヒト由来B細胞株では種々の分子量を持つZEBRAが検出された。(iii)EBV重感染では、内在EBVゲノムのコードするZEBRAのみが検出され、外から感染させたEBV遺伝子発現によるZEBRAは検出されなかった。(iv)種々のEBV感染B細胞株でBZLF1 PCR産物の制限酵素断片に差異が認められた。ZEBRA分子の多形性は細胞内に潜在するEBVの遺伝子を反映し、この性状はEBVの宿主が変っても保存された。重感染によるZEBRAの発現は、内在EBV遺伝子から誘導されるものと考えられた。 2.EBV活性化とインターロイキン10(IL-10)産生について: ヒト(h)IL-10とEBV遺伝子BCRF1蛋白であるウイルス(v)IL-10は、高い遺伝子ホモロジーを持ち、T細胞増殖やIL-2産生を抑制し、B細胞の分化、増殖活性を持つことから、EBV感染疾患との関係が示唆されている。EBV活性化に伴って発現されるIL-10の産生状態を解析し、EBV感染におけるvIL-10産生の機構を明らかにした。(1)種々のEBVゲノム(+)及び(-)細胞株においてhIL-10の産生は検出されたが、vIL-10の産生は検出されなかった。(2)潜在Akata細胞を抗ヒトIgGで、潜在EBVを活性化すると、hIL-10及びvIL-10の著しい誘導が見られた。hIL-10及びvIL-10の産生は、抗IgG添加後それぞれ6hr及び10hrで開始され、EBV活性化と共に増加した。(3)vIL-10の産生はAkata細胞へP3HR-1 EBVの重感染でも誘導された。(4)vIL-10の産生はヘルペスウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤ホスフォノ酢酸により抑制された。 本研究はEBV遺伝子の活性化に伴って多量のh及びvIL-10が誘導されることを明らかにした。vIL-10はウイルス後期遺伝子の発現の関与を示した。
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