研究課題/領域番号 |
06454227
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川西 正祐 京都大学, 医学研究科, 講師 (10025637)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | 発がん性 / 金属化合物 / DNA損傷 / 8-OH-dG / 培養細胞 / ニッケル化合物 / 炎症 / ペルオキシナイトレート / 発がん性重金属化合物 / ヒト培養細胞 / 過酸化水素 / 8-OH-デオキシグアノシン / ラット肺 / 活性酸素生成 |
研究概要 |
発がん性重金属化合物は動物や培養細胞に投与するとDNA損傷をもたらすが、その機構は解明されていない.これまでに単離したヒトがん原遺伝子で明らかにした様に、発がん性重金属化合物による活性酸素生成およびDNA損傷が細胞内でも起こるという可能性を裏付けるために、培養細胞および動物を用いて突然変異や発がんにつながる8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OH-dG)の定量をニッケル化合物について行った.8-OH-dGの定量には電気化学的検出器と連結させたHPLCを用いた.その結果、培養細胞の実験では、Ni3S2および金属ニッケルで処理したHeLa細胞において8-OH-dG量が増加した.一方、動物実験では、ラットに種々のニッケル化合物(緑色NiO,黒色NiO,NiS,ni3S2)および金属ニッケルを経気道的に投与し、肺の8-OH-dG量を定量した.その結果、いずれの場合にも8-OH-dG量は増加していた.したがって、実験動物でも活性酸素種による直接的な酸化的DNA損傷が起こると考えられる.しかし、ニッケル化合物による炎症が間接的な酸化的DNA損傷に寄与している可能性もある.最近我々は、炎症に伴って生成する一酸化窒素(NO)およびスーパーオキシド(O2^-)が反応してペルオキシナイトレート(ONOO^-)を生成し、それによって、8-OH-dG生成がもたらされることを明らかにした.発がん性重金属化合物によるDNA損傷機構についても、直接的あるいは間接的な酸化的DNA損傷のいずれもが重要であることを示した.以上の結果は1986年に我々が提唱した「金属発がんの活性酸素説」がより確かなものになったことを示している.また、発がんを軽減する効果の大きい活性酸素スカベンジャーを検索することにより、がん予防が可能になることを示している.
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