今回、モルモット喘息モデルを用いて、換気力学的にエンドセリン(ET)拮抗剤の喘息反応および気道過敏性への有効性の検討を行い、薬理学的レセプター結合試験を通してETレセプター動態をし、分子生物学的手法でETメッセンジャーRNAの変動を観察した。これらの実験結果より、喘息の病態生理におけるETの役割を明らかにした。我々の気管支喘息モルモットモデルは気道過敏性を有し、なおかつ、抗原曝露することにより即時型の喘息発作およびその5-6時間後に遅発型の喘息発作を呈した。その喘息モデルに対して抗原曝露後の呼吸抵抗の変動を小動物用呼吸抵抗測定装置を用い喘息反応および気道過敏性に対する抗ET抗体、ET拮抗剤の影響を検討したところ、即時型反応にはET-Bレセプターが、遅発型反応及び気道過敏性にはET-Aレセプターが関与していることを明らかにした。また、レセプター結合試験を通してETレセプターが抗原曝露によりdown-regulationをおこし経時的に回復してくること、つまり、喘息発作時に実際にエンドセリンが放出されレセプターに結合することによりその後のdown-regulationを生じていることを間接的に証明したと考えられる。また、ET-1メッセンジャーRNAのnorthern blottingを行ったところ抗原曝露によりmRNAがup-regulateしてくることを明らかにし、その作用がサイトカインを介しておこしていることも併せて証明した。このような成績よりモルモット喘息モデルにおいてエンドセリンが重要な役割を演じている可能性が示唆された。以上の様に、研究費申請の際に計画した研究計画内容をほぼすべて実施し、大いなる成果をあげられたと考えている。
|