研究課題/領域番号 |
06454308
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
前川 喜平 東京慈恵会医科大学, 小児科, 教授 (80056613)
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研究分担者 |
長谷川 頼康 東京慈恵会医科大学, 小児科, 助手 (60256435)
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 小児科, 講師 (90167255)
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 小児科, 講師 (60160595)
松島 宏 東京慈恵会医科大学, 小児科, 講師 (70190460)
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 小児科, 教授 (50056909)
所 敏治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40112841)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 先天性ミエリン形成異常症 / matachromatic leukodystrophy(MLD) / Gaucher病 / RT-PCR法 / 遺伝子変異解析 / 遺伝子解析 / ArylsulfataseA / PCR-SSCP法 / MLD / PMD / PCR / ASO / SSCP / レトロウイルスベクター / アデノウイルスベクター / 異染性脳白質変性症 / アリルスルファターゼA遺伝子 / 遺伝型と臨床型 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
先天性ミエリン形成異常症は、小児期において多く見い出されており、中枢性と末梢性ミエリン形成異常症が知られている。中枢性疾患にはmatachromatic leukodystrophy(MLD)、Krabbe病等の脂質代謝異常症、ミエリン蛋白の遺伝子異常が明らかにされたPelizeus-Merzbacker disease(PMD)、又灰白質を障害とするゴ-シェ病等がある。これらの疾患において日本人における遺伝子解析を行い、本研究では日本人に特有な遺伝子変異を明らかにすると同時に変異遺伝子をCos-1細胞或いはCHO細胞に発現させ、変異蛋白質或いは酵素蛋白の特性を明らかにした。また、マウス神経組織、或いは培養神経細胞にArylsulfataseA,Proteolipid protein遺伝子を神経細胞に親和性のあるアデノウイルス或いはヘルベスウイルスベクターを用いて発現し、ヒトミエリン研究異常症の遺伝子治療への基礎的貢献を検討した。従来までの研究経過として我々はMLD,Gaucher病等の遺伝子解析を行い日本人での遺伝子異常を明らかにしてきた。その結果、日本人での変異は欧米人とは異なり、特徴的な遺伝子型を示し、よって我々はミエリン代謝障害の疾患の病因の解析、さらには治療法への開発的研究を推進し続けている。以下、本研究における研究成果をまとめるとする。 (1)MLD 今回の解析では今までに報告のない新しい変異366gおよび1542Cを検出した。366gはイントロン2の3′splice site-2の位置にあり、結果としてsplicing errorが予測され、RT-PCR法でも確認しえた。MLDでのsplicing errorを生じる変異は本例が4例目であり、いずれも重症の病型をとっている。また1542Cも発現系を用いたアッセイ法から著明に低い残存活性を示した。症例1の臨床病型はこの2つの変異の組み合わせから説明し得るものと推測された。症例12では原因となる変異を同定することはできず、アミノ酸コード領域以外の変異によるMLD発症を考慮する必要がある。症例13の変異2330TはHasegawaらが最初に報告した変異で、アミノ酸置換だけでなくsplice site selectionをもたらす変異としても知られ、臨床型として軽症型を呈することが本例によって確認された。日本人MLD患者3例の分子生物学的解析を行い、新しい変異366gと1542Cを同定し、日本人で報告のない1788A>G(Asn350>Ser)のpseudodeficiency alleleを検出した。また2330Tが臨床型として軽症型を呈することを確認した。今後さらに解析症例を加え、日本人MLDの変異とその意義を検討して行くことが必要である。 (2)Gaucher Disease 我々は日本人ゴ-シェ病50例の遺伝子変異解析をPCR及びPCR-SSCP法を用いて検討した結果、L444P以外にはcommon mutationは存在せず、その遺伝子変異分布は極めてheter ogenousであった。このことは、日本人GD遺伝子変異の由来がheterogenousであることを示していると考えられ、ユダヤ人のような変異によるスクローニングが困難であることを示唆する結果であった。今後さらに不明なalleleの同定にはDGGE法などの他の変異同定法が必要と考えられた。
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