研究分担者 |
稲葉 義方 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60184727)
澤田 俊一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50187291)
本田 まりこ 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20100919)
峰咲 幸哲 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40229779)
太田 有史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20168933)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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研究概要 |
神経線維腫症は全身に多発する神経神経線維腫,カフェ・オ・レ斑と呼ばれる褐色斑のほかにも中枢神経病変,眼,骨の病変などのみられる常染色体優性の遺伝性疾患である。本症は,きわめて発生頻度の高い疾患であり,我国には4万人程度の患者がいるものと推定されている。また,本症患者にみられる症候は多彩であり,個々の患者にみられる症状の程度の差も著しい。これまで神経線維腫症には,臨床的に幾つかの病型があるものと考えられていたが,遺伝子研究の結果,現在では少なくとも古典的なレックリングハウゼン病(神経線維腫症1,neurofibromatosis 1,NF1)と,家族性両側性に聴神経腫瘍のみられる神経線維腫症2(neurofibromatosis2,NF2)との2型があることが明らかとなった。NF1の遺伝子は17番染色体の長腕の17q11.2に座位し,NF2遺伝子は22番染色体長腕の22q12に座位する。NF-1遺伝子はneurofibrominと名付けられる蛋白をつくり,それはras蛋白を不活性化するGAP(GTPase activationg protein)と同様の働きを有することが明らかになった。また,NF-2遺伝子がコードする蛋白は,merlinと呼ばれ,細胞骨格と細胞膜を接着する蛋白に類似している。NF1患者の遺伝子変異を明らかにすることは容易ではない。その理由は,NF1遺伝子は350kbpと巨大であり,エクソンが60あるからである。これまで行われてきた方法では,検索された症例のうち,ほぼ半数にしか変異を見出すことができなかった。われわれは,さらに迅速かつ簡便に,しかも確実にNF1遺伝子の変異を確認する方法を開発した。NF2遺伝子については,多発性神経鞘腫症患者にみられる腫瘍の細胞DNDにNF2遺伝子の変異を高率に認めることがあることから,両者は同一の疾患であることを報告した。
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