研究課題/領域番号 |
06454346
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
北 堅吉 三重大学, 医学部, 助教授 (90169847)
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研究分担者 |
三輪 啓志 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (00209967)
片山 直之 三重大学, 医学部, 助手 (20185812)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1994年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | 急性骨髄性白血病(AML) / 急性リンパ性白血病(ALL) / 表現型 / 染色体異常 / 増殖因子受容体 / 多剤耐性遺伝子 / 幹細胞 / 白血病分類 / 造血因子受容体 |
研究概要 |
本研究により得られた成果は下記の点に集約される。 1.分化抗原と増殖因子受容体発現との間には密接な関連がみられ、発現量は強いもののその様式は正常血球分化とほぼ同様であり、それらを因子とした統計学的処理にて客観的な少なくとも5型に分別しうる。 2.この分別は従来の形態学的分類(FAB分類)では不可能であった未分化形質発現例(CD34陽性例)の機能的分別を可能にした。 3.形態学的に分別可能であった特定の染色体異常をもつAML(t(8;21)AML,inv(16)AMLなど)の形態は白血病化標的細胞を反映していないこと、言いかえればそれらの染色体異常(遺伝子変異)が特定の系統への分化に深く係わっていることが強く示唆された。 4.多剤耐性遺伝子訓MDR1発現は上述の分化抗原、受容体発見、染色体異常(或いは特定の遺伝子変異)と関連がみられ、MDR1遺伝子発現は前治療の有無とは無関係に白血病細胞の本来の性格に帰属することが判明した。 5.AML,ALLの約30%の例は未分化幹細胞の生物学的特性を広く共有しているが、B細胞特異的とされた多剤耐性遺伝子MDR3がCD19陽性AMLで検出され、pre-B-ALLとの機能的関係を示唆する所見を得た。CD7陽性白血病と同様AMLとALLの境界を超えた新たな病型分類確立へ重要な知見を得た。 これらの研究成果は本研究の課題である「急性骨髄性白血病の生物学的特性に基づく病型分類の確立」の基盤をなすものと考えている。なお、現状での統計的病型が若干の専門性を必要とするため、医学会総会で発表した試案ともに臨床成績等を加えた改善を行った有用かつ簡便な臨床診断法の発表鋭意準備中である。さらに、本研究の将来的発展に向けて、遺伝子異常のに伴う増殖・分化の分子生物学的機構、白血病研究では欠落しがちな器官腫瘍的視点からリンパ球系腫瘍についての研究、マウス幹細胞による増殖動態、分化・増殖関連遺伝子群の制御機構の様式とその異常に関する検討を加えて、各AMLの生物学的特性の起因となる事象の解明に努めている。
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