研究課題/領域番号 |
06454383
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
有井 滋樹 京都大学, 医学部, 講師 (50151171)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 肝類洞壁細胞 / 類洞内皮細胞 / クッパー細胞 / 伊東細胞 / エンドトキシン / 肝冷保存 / Na^+ / Ca^<++>交換体 / kan-1 / エンドトキシン血症 / 冷保存肝 / 肝移植 / 無機能肝 / 肝特異遺伝子 / 再灌流傷害 |
研究概要 |
1.エンドトキシン(Ex)誘発肝障害の機序。Ex投与と盲腸結紮穿刺モデルにおいて、類洞内皮のICAM-ImRNA及びICAM-1の発現亢進を認め、肝マクロファージ(Mφ)をブロックすることにより、これらが抑制されることを明らかにした。そして、好中球枯渇モデルではEx肝障害が軽減することを示し、本病態の発生機序における肝Mφ-接着分子-好中球系の意義を明らかにした。また、血管収縮、血小板凝集に関与するトロンボキサンA_2(TXA_2)の受容体が類洞内皮に存在することを証明し、TXA_2合成酵素阻害剤がEx肝障害を軽減することから、本病態と類洞内TXA_2受容体系の関連性を示した。 2.肝冷保存・再灌流傷害の発生機序とその対策。肝冷保存時には肝Mφがプライミング及至は活性化の状態になっていることを、アシアロGM1発現の解析、TNFα産生能の測定により明らかにし、肝Mφをブロックすることにより、類洞内凝固を抑制し、微小循環傷害にもとづく再灌流傷害を防止出来ることを示した。更には、冷保存時間とともに類洞内皮のICAM-1発現が高まり、白血球接着が亢進したが、肝Mφのブロックによりこれらを抑制することも明らかにした。 3.活性化伊東細胞におけるNa^+-Ca^<++>交換体の発現。活性化伊東細胞のコラーゲン合成能や微小循環に関与する収縮能がCa^<++>のシグナルに依存するとの観点から細胞内Ca^<++>濃度の抑制機構の研究過程において発見した。活性化伊東細胞の新しいマーカーとなること、肝線維化の早期診断に応用しうる可能性を示した。 4.新しい肝特異遺伝子(kan-1)の分子生物学、医学的意義について。本遺伝子はラットでは420個、ヒトでは418個のアミノ酸残基からなる分子量的46キロダルトンの蛋白をコードすることを明らかにした。ラットでは胎生期の肝では発現はなく、出生直後より発現し、一種の分化マーカーの可能性が考えられた。ヒトkan-1は、胆管細胞癌、転移性肝癌では全く発現せず、肝細胞癌にのみ種々の程度で発現する。そして、その発現強度と予後が有意に相関し、低発現例では著しく不良であった。肝細胞癌の新しい予後因子として期待され、現在、特異抗体の作成にも成功している。
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