研究分担者 |
茂木 健司 千葉大学, 医学部附属病院, 医員
鬼頭 浩之 千葉大学, 医学部附属病院, 文部教官(助手) (40261903)
中谷 充 千葉大学, 医学部附属病院, 文部教官(助手) (60261921)
増田 政久 千葉大学, 医学部附属病院, 文部教官(講師) (50157210)
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研究概要 |
(1)臨床研究:(1)手術成績の検討。対象は25例。手術死亡は、4例(16.0%)。生存例21例の血液ガス所見、循環動態所見は、術前術後で有意に改善しており、特に、PaO2は、術前と術後1カ月後は、それほど改善しないものの、術後6カ月では、有意に改善していた。また、実際の運動能の評価として、術前術後でNYHA分類を比べてみると明らかに改善しているものが、21例中18例あり、NYHA2度以上に改善していた。(2)手術のアプローチ選択の検討。血栓塞栓占拠部位により、胸骨正中切開到達法と側方開胸到達法のどちらかを選択して、手術成績の向上を図り、また、正中と開胸と比較検討を加えた。(3)病理組織学的検討。アプローチを決定する上で重要なのが、血栓の性状である。2通りの血栓内膜が存在するようであり、それを病理組織学的に検討した。(4)新しい検査の検討。血管内視鏡は、血栓内膜摘除術の成否の判定に有用であった。また、血栓内膜の性状の術前評価に有用なのが、血管内超音波検査であり、現在、検討中である。 (2)実験モデルの作成:トラネキサム酸経口投与下に下大静脈内に血栓を発生させ,この血栓により肺塞栓症モデルを作成することを試みたが,目的とする慢性肺動脈塞栓犬の作成には至らなかったため,新しい実験方法を,現在,米国カリフォルニア大学サンディエゴ分校にて修得中である。 (まとめ)本症における外科治療は,有効であることが判明し,QOLの向上をもたらすことが示唆された。しかし,治療成績は,未だ満足すべきものではなく,その原因となる術後再灌流障害などの病態の解明には実験的検討が必須であり,慢性モデル犬の作成を引き続き試みる所存である。
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