配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1995年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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研究概要 |
本科学研究費補助金交付年度内に,軟骨形成異常につき,以下の3つのテーマで研究を行った. 第一は,軟骨コラーゲンのXI型コラーゲンα2鎖の遺伝子発現制御に関する研究である.マウスXI型コラーゲンα2鎖の遺伝子をcDNAをプローブしてクローニングをおこなった.さらに,この遺伝子のプロモータをトランスジェニックマウスを作成することによりin vivoで解析した.本研究により,XI型コラーゲンα2鎖遺伝子のプロモーター部分には,胎生期の軟骨の形成を発生の時間軸と体の位置軸に沿って制御する領域があることを明らかにした. 第二の研究は,軟骨形成性の骨軟部腫瘍の軟骨コラーゲン遺伝子発現につき解析した.その結果,腫瘍部の組織において,腫瘍の分化度,悪性度に応じてXI型コラーゲンのα1,α2,α3鎖それぞれの遺伝子においてmRNAレベルでスプライシングパターンに違いがあることが解明された. 第三の研究は,軟骨コラーゲンであるXI型コラーゲン遺伝子異常を導入したトランスジェニックマウスを用いて,軟骨コラーゲン異常が関節と脊椎椎間板の異常をきたすことを示した研究であり,本研究によりヒトの関節,脊椎疾患において軟骨コラーゲン遺伝子異常が関与している可能性が示された. これら一連の研究により,軟骨コラーゲン遺伝子の発現は,胎生期から体の支持組織の形成に,時間的,空間的に制御され.また,その遺伝子発現のスプライシングパターン異常により種々の軟骨形成性腫瘍の形成に関わり,さらに,軟骨コラーゲン分子異常が変性性,退行性関節疾患の発症にも関わっていることを明らかにした.
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