同種組織移植を臨床的に推進する目的で、同種組織(特に同種骨)の至適処理方法と安全な管理を検討し、その結果に基づいて院内Bone (Tissue) Bankのみならず地域的なBone (Tisue) Bankの確立を目標として研究を行った。 1)同種組織を安全に管理・保管する方法を検討する目的で、BNラットから摘出した各組織を(1)2重の清潔ポリ袋に包装(採取日等を記載)、(2)3重の清掃ポリ袋に包装(採取日等を記載)(3)清潔な瓶(採取日等を記載)に入れて、ポリ袋にて包装、の3群において-80℃冷凍保存を行い、6ヶ月経過後に起炎菌の検出を行い、Lewisラットに同種移植した。いずれも起炎菌は証明されなったし、移植の生着はほぼ良好であったが、保管の観点からは(1)群がスペースと繁雑さの面では有利であり、(2)群は持ち運びの安全性では有利であることが判明した。 2)地域的な組織銀行(Tissue Bank)の確立に向けて、先ずは院内の体制を確立した。同種組織の採取にあたり、微生物検査と血液検査を行い、安全性を確認し、2重以上のポリ袋に保管し、-80℃冷凍保存することとした。現在では患者の同意を得て、同意書に署名のうえ、同種移植の臨床的経験を積み重ねている。また、他の病院との連携をはかる目的で数回の協議を重ねており、現在は当院にて採取した同種組織を漸次他の病院にても活用し始めており、さらに将来的には他病院にて採取した組織を当院において仕様することとしており、それによって広い地域でのTissue Bankのシステムを確立する方針である。
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