配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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研究概要 |
I.精管内精子輸送の自律神経支配の検討 ヒト,イヌ,ラットにおいて腰内臓神経(主としてL2-5)から下腹神経を経て精管に至る経路が精管内精子輸送を支配し,その支配様式はいずれも下腸間膜動脈神経叢(ヒトの上下腹神経叢に相当)と左右の骨盤神経叢の交通枝を交差点とする2重交差性の支配であった.また,下腹神経切断後は骨盤神経が精管内精子輸送を代償するという知見を得た.このメカニズムの一つは腰仙部交感神経幹由来で骨盤神経内に含まれる交感神経成分によるもので,他の一つは骨盤神経内の節前ニューロンが骨盤神経叢で下腹神経の節後ニューロンにsprouting(発芽)するというものである.さらに大内臓神経-副腎系による精管内精子輸送の内分泌調節の可能性が強く示唆された. II.精管内精子輸送のメカニズムの検討 イヌでは精巣から精巣上体体部までのどの部位を刺激しても精管(精管精巣上体部より前立腺側)内圧は変動せず,精巣上体尾部から精管全体にかけてのどの部位を刺激しても精巣上体尾部(および精管精巣上体部)のみに著明な内圧の上昇を認める.また,下腹神経の刺激で精管は縦に短縮する.精管は伸展されるとその部位のみが内圧の上昇(収縮)を示す.すなわち精子の貯留部位である精巣上体尾部に交感神経シグナルが到達すると,同部の内圧上昇が起こりその内容液が短縮直線化した精管内を精管膨大部へと急速に運ばれるものと考えられる.精管内に残留した精液は精巣上体尾部へと逆流する知見を得た. III.自律神経縫合の検討 下腹神経を両側切断した後に顕微鏡的に吻合することにより,腰内臓神経からの精管,精巣上体,前立腺,膀胱頚部への全てのシグナルは温存されていることが判明した. IV.精管直接刺激によるseminal emissionの臨床応用の検討 脊髄損傷や手術後の射精障害者の他に心理的な射精障害者にも本法を試み,精子を採取することが出来た.射精障害患者の精管機能検査に本法は有用であろうと考えられた.
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