研究概要 |
移植角膜拒絶反応におけるサイトカインおよび各種細胞接着分子の役割を明らかにするため,マウスを実験対象に直径2.0mmサイズでの全層角膜移植実験モデルを確立した。イソグラフト実験にはドナーおよびレシピエントをBALB/c(H-2^d)とし,アログラフト移植実験にはドナーをC3H/He(H-2^k),レシピエントをBALB/c(H-2^d)とした。イソグラフト移植群では全例で透明生着が得られたのに対し,アログラフト移植群では90%以上の確率で拒絶された.しかし,術前后に細胞接着分子であるICAM-1,LFA-1およびVLA-4に対するモノクローナル抗体を投与することにより,拒絶反応が有意に抑制された。とくに抗LFA-1抗体と抗ICAM-1抗体または抗LFA-1抗体と抗VLA-4抗体を併用投与により拒絶反応が高率に抑制された。チャレンジテストの結果,抗接着分子抗体による拒絶反応抑制はアロ抗原特異的なものであることが判明した。次に,角膜移植拒絶反応におけるサイトカインの役割りを明らかにするため,アログラフト移植后IL-2,インタフェロン-γ,MHCクラスII抗原に対する免疫組織化学的研究を行った。その結果,アログラフト拒絶反応角膜では術后7日目頃からIL-2,インタフェロン-γ,MHCクラスII抗原の出現することが明らかとなった。同種異系角膜移植拒絶反応では各種細胞接着分子およびサイトカインが重要な役割りを果していることが明らかとなった。
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