研究分担者 |
河原 研二 岡山大学, 歯学部, 助教授 (50076113)
赤木 巧 岡山大学, 歯学部, 教務員 (50192878)
村田 勝 岡山大学, 歯学部, 助手 (00260662)
井上 正久 岡山大学, 歯学部, 助手 (20223274)
長塚 仁 岡山大学, 歯学部, 助教授 (70237535)
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研究概要 |
歯原性腫瘍の分類は,腫瘍細胞の分化の程度に関連させてなされているが,その指標の一つとして,Amelogeninの局在とその遺伝子発現との相関の研究がある。今回,Amelogenin蛋白および,そのmRNA probeを作製しその発現を観察した。 材料と方法:Wistar系胎生20日ラットを用いた。4%パラホルムアルデヒド溶液で灌流固定,切片を作製した。probe作製:ヒトAmeloblastoma plexiform typeからtotal RNAを抽出し,primers (sense : 5^1-TCGGTCCTGCCTCATCACCATCC-3^1, anti sense ; 5^1-CCGCTTGGTCTTGTCTGTTG-3)と共にPCR法にて増幅した後,Vector (Bluescript)組み込み,Dig RNA Labelingkit (Boehringer Mannheim)を用いin vitro transcriptionを行い,Digoxigenin標識single strand RNA probeを作製した。50℃,16時間hybridize後,Dig Nucleic Acid Detection Kit (Boehringer Mannheim)により,抗原抗体反応を行い,光顕的に観察した。歯原性腫瘍のAmelogenin蛋白の検索によりpolyclonal抗体を用いた。 結果と考察:ラット,マウス切歯のエナメル芽細胞にAmelogenin蛋白とAmelogenin mRNAのシグナルを認めた。未分化のエナメル上皮細胞には,シグナルの発現は認めなかった。Ameloblastomaのごく一部の症例にAmelogenin蛋白の局在を認めた。又、Amelogenin mRNAのシグナルはしばしば胞巣の中心部細胞と周辺の高円柱細胞の基底膜側に認めた。以上のことから多くのAmeloblastomaに於てAmelogeninの遺伝子発現がかなりの頻度で生じていることが示唆された。 腺様歯原性腫瘍(AOT)では腫瘍細胞全体にRNAのシグナルを認め,Amelogenin蛋白の局在を認めたことから,分化度の高い腫瘍を分子生物学的レベルで確認した。 エナメル上皮腫,悪性エナメル上皮腫における細胞増殖能,及び癌遺伝子産物,癌抑制遺伝子産物に関する免疫組織化学的検索を施行し,以下の結論を得た。 PCNA, c-myc蛋白, ras蛋白, p53蛋白の免疫組織化学的検索,エナメル上皮腫の悪性能の対するスクリーニングとして有用であることが示唆された。
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