配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1994年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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研究概要 |
口腔関連諸組織機能と活性酸素フリーラジカル相互の連携について統合的研究を行った。とくに咬筋興奮-収縮関連,循環系調節に関与する血管平滑筋細胞内情報伝達系と神経性血管運動に焦点を絞り,活性酸素フリーラジカルの作用様式を克明に検討した。 1.咬筋興奮-収縮関連と活性酸素フリーラジカル 筋細胞内Ca^<2+>ハンドリングを標的として解析した。その結果,最も強い障害能をもつ活性酸素種として,一重項酸素を特定できた。一方,ヒドロキシルラジカルは,細胞内Ca^<2+>ストア機能よりも細胞膜局在の機能蛋白(Na^+,K^+-ATPasc,Ca^<2+>ポンプATPase)に対して高い障害能を示した。 2.循環系調節と活性酸素フリーラジカル (1)歯髄血流量:イヌ犬歯頬側に活性酸素フリーラジカル適用のための窩洞を形成し,活性酸素フリーラジカルによって受ける歯髄血流量変化をモニターした。これによって得られたデータから,ヒドロキシルラジカルは歯髄血管内皮細胞の一酸化窒素合成能を障害するラジカル種であることが明確となった。また,一酸化窒素による血管緊張の調節機構が歯髄循環系にも存在することを確認できた。 (2)神経性調節:イヌ舌動脈は,自律神経性調節以外にカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)含有線維によって拡張性調節を受けていることを明らかにした。この調節機構はヒドロキシルラジカルによって破壊され,これはとくにCGRP_<1->受容体機能の障害とCGRPの合成遊離促進に基づくものである。 (3)血管反応性:ヒドロキシルラジカルおよび一重項酸素は,選択的に内皮細胞機能を障害しうる活性酸素種であり,かつ,ノルアドレナリン(NA)誘発性収縮を減弱できる。さらにNAの遊離には影響を与えないことが示唆された。 3.血管平滑筋細胞内情報伝達系 血管平滑筋脱膜標本を用い,細胞内Ca^<2+>ストアに与える活性酸素フリーラジカルの影響を動的に解析した。Ca^<2+>誘発性Ca^<2+>遊離チャネルはスーパーオキシドラジカルによって障害を受けやすいチャネルであり,一方,イノシトール三燐酸感受性チャネルはヒドロキシルラジカルに対してもH_2O_2に対しても強い抵抗性を示すことを示唆できた。 本研究ブロジェクトにより,活性酸素フリーラジカルは血管反応性を収縮傾向に導くことを明確化できた。そして,それぞれの化学種特異性を分別して理解することを可能にした。
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