研究概要 |
孟宗竹を200℃で20mmHgの減圧下で抽出した成分(竹エキス)を用いて、Staphylococcus aureus (S.aureus), Streptococcus mutans (S.mutans) およびCandida albicans (C.albicans) に対する抗菌性と殺菌性および急性経口毒性試験などを行い,歯科への応用について検討した.竹エキスのMICはC.albicansでは2.5%であった.竹エキスのMBCはMICとほぼ同じ値であり,殺菌性も認められた.竹エキス濃度が5%程度で各菌に対して抗菌性と殺菌性が得られた.竹エキスの成分分析を行ったが、40種類以上の化合物からなる混合物であり、主にフラン系とフェノール系の化合物であった.マウスを使って竹エキスの急性経口毒性試験を行ったが死亡例は全くなく、剖検によっても異常は見られなかった。また,竹エキスは食品添加物として認められた. 孟宗竹を乾留抽出した竹エキスをティシュコンディショナに添加し、in vitroにおいてCandida albicansに対する抗菌性や試料への付着などについて検討した.竹エキスを添加したティシュコンディショナをHeart infusion(HI)寒天培地に浸漬した場合に,竹エキスの流出はほとんど見られなかった.ティシュコンディショナの液に竹エキスを10wt%添加して作製した試料へのCandida albicansの付着はほとんど見られず,抗菌性が認められた. 竹エキスを添加した義歯床用レンジなどのin vitro試験においては,竹エキスを添加していないコントロールと有意差はほとんど認められなかった.しかし,in vivo試験においては,臭いやデンチャープラーク等の汚れはほとんど観察されなかった.竹エキスを添加した試料のin vitro試験方法や条件を変えることにより有意差が得られれば,臨床への応用範囲も容易になると考えられる.
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