研究課題/領域番号 |
06454582
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
矯正・小児・社会系歯学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
花田 晃治 新潟大学, 歯学部, 教授 (90013979)
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研究分担者 |
斉藤 功 新潟大学, 歯学部, 助手 (90205633)
山田 一尋 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (40182521)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1995年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1994年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 歯の移動 / 歯根膜神経 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 歯槽骨骨芽細胞 / MC3TC-E1 / MC3T3-E1 / メカニカルストレス / CGRP / PGP9.5 / cAMP / アルカリフォスファターゼ活性 / 歯槽骨改造 |
研究概要 |
痛覚伝達や血管拡張に関与するとされる神経ペプチドの一つカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の抗血清を用いた免疫組織化学的検索により、ラット歯根膜内CGRP含有神経が歯の移動時に生ずる歯槽骨改造現象の活発な時期において増加する傾向にあることを再確認した。さらに、歯の移動時における三叉神経節内CGRP陽性ニューロンの反応についても免疫組織化学的に検討し、CGRP陽性神経細胞体は歯の移動開始直後から減少するが、移動開始12時間ではほぼ正常な状態にまで回復することが示された。 また、近年CGRPが骨系細胞に対しても様々な影響を与えていると報告されていることから、ネコを用いて歯の移動に伴う骨芽細胞上のCGRP染色強度の変化について検討した。その結果、いわゆる牽引側において、骨形成が活発な時期に歯槽骨表層に存在する骨芽細胞のCGRP免疫染色強度が有意に高くなることが明らかとなり、in vivoにおけるCGRPの歯槽骨改造への関与の可能性、特に骨芽細胞の細胞活性上昇に関与していることが示唆された。 そこで次に、骨芽細胞に対してCGRPが直接影響を与えているか否かについて調べることを目的として、in vitroにおいてクローン化された培養マウス骨芽細胞(MC3T3-E1)にメカニカルストレスを与え、CGRPの添加によりMC3T3-E1細胞のALPase活性およびcAMPレベルが変化するか否かについて生化学的に検討した。その結果、CGRP非添加群においても細胞にメカニカルストレスが加わることによって、荷重開始1時間後よりMC3TE-E1細胞のALPase活性およびcAMPレベルが両者ともに時間依存的に上昇する傾向にあった。これに対して、添加群では荷重開始3時間後に、非添加群と比較してALPase活性、cAMPレベルともにより高い値を示し、特にcAMPレベルは有意に高くなっていた。このようにin vitroにおける実験結果は、MC3T3-E1細胞がCGRPに対して反応していることを意味し、またこの細胞がCGRPに対するreceptorsを有する可能性があるという過去の報告をも支持するものであり、CGRPが骨芽細胞の応答活性を上昇させていることを示唆するものであるといえよう。 従って、以上述べたin vitroならびにin vitroの実験結果から、CGRPが矯正力の効果のmediatorの一つとして作用し、特に骨芽細胞の機能に直接的に影響を及ぼしている可能性が明らかとなった。
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